v1の初号機となったのは7号機だ(打ち上げ順は6号機と入れ替わっており、7号機の方が先になった)。打ち上げは、2021年7月3日に実施。最初のウィンドウ(11時〜12時20分)は上空の気象条件を満たさなかったため見送られたものの、天候は徐々に回復し、夕方には快晴に。17時45分、エンジンに点火されると、機体はスムーズに上昇していった。
続いての6号機は、同月31日に打ち上げが実施された。昼のウィンドウは事前の天候判断により見送っており、この日は最初から夕方のウィンドウ(17時〜17時50分)をターゲットにしていたのだが、予定通りの17時に点火。何のトラブルもなく、あっけないほどだった。
注目したいのは、2機とも、天候以外の理由による延期がないオンタイム打ち上げだったことだ。これまでは、天候で遅れ、いざ打ち上げとなったら機体の不具合で延期し、推進剤をいったん抜いてやり直し……というシーンが目立っていた。まだ2機のみとはいえ、v1の信頼性向上を強くアピールできる絶好の結果となった。
そして1カ月以内の2機連続成功ということで、高頻度運用のデモンストレーションにもなった。同社は2020年末、北海道大樹町の旧本社近くに新本社と新工場が完工。MOMOを複数機同時に製造できる能力を整えた。これからは、ガンガン作ってガンガン打ち上げられる、新たなフェーズに入ったといえるだろう。
また6号機では、MOMOとしては初めて、ペイロードの放出と回収も行った。頂点高度付近で放出した高さ78.2mm×直径34.8mm、重さ37.6gのペイロードは、自由落下して海面に着水。航空機でシーマーカー(海面着色剤)を確認してから、船で回収に向かった。
小さな円筒サイズとはいえ、今回、回収の技術実証まで成功したのは、MOMOの事業を考える上で大きな成果だ。このサイズでも、データが入ったカードや、小さな実験サンプル程度なら十分格納できる。科学実験以外にも、企業のPR、ブランディング、エンターテインメントなど、さまざまなニーズが考えられるだろう。
さらに6号機では、ペイロード内のライブ中継も初めて行われた。大樹町内にある東京大学のパラボラアンテナを使うことで、高画質で安定した配信を実現。MOMOクラスのロケットで、ペイロードの回収や、内部の映像配信まで行えるのは珍しく、サービスの競争力を高められる付加価値になりそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.