さらに、ワクチン接種証明書向けのトラストフレームワークでは、データの符号化および表現に関して、図4のような提案を行っている。
データフォーマットとしては、以下の3つを推奨している。
上記のうち、FHIRについては、本連載第40回で触れたように、米国政府の医療データ2次利用推進策でも採用されており、国際標準化の観点からも注目されている。
なお世界レベルでは、国際保健機関(WHO)が、2021年7月27日、「COVID-19証明書のデジタル文書化:ワクチン接種状態:技術仕様と展開のガイダンス」(関連情報)を公表している。その章立ては、以下のようになっている。
WHOのガイダンスを見ると、EUデジタルCOVID証明書に関わるトラストフレームワークの策定プロセスで議論された課題やそれを解決するための技術仕様と共通する部分が多く含まれていることが分かる。
日本でも、海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書(関連情報)がスタートしているが、現段階では紙の様式に限定されており、デジタル化については、国際動向を見定めながら検討するとしている。最初から、GDPR順守を前提とし、紙とデジタルの双方をカバーするものとして設計されたEUのトラストフレームワークやガバナンスモデルに追い付くのは容易ではない。
笹原英司(ささはら えいじ)(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)
宮崎県出身。千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク/コンプライアンス関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所、グロバルヘルスイニシャチブ(GHI)等でビッグデータのセキュリティに関する啓発活動を行っている。
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