トラストフレームワークは、本連載第61回で取り上げたCOVID-19デジタル接触追跡アプリケーション向け欧州連携ゲートウェイサービスと同様に、柔軟性の原則に従い、可能な限り中央集権化を避けるために、大規模な分散型アプローチを採用している点が特徴だ。
図3は、EUトラストフレームワークのシステムアーキテクチャの全体像を示したものである。
上図の中で、「A国(発行者)」については、以下のような機能を挙げている。
また、「B国(検証者)」については、以下のような機能を挙げている。
他方、両国をつなぐ「中央サービス」については、分散型ではなく中央集中型アプローチを採用している点が特徴だ。ここでは、以下のような機能を挙げている。
参考までに、本連載第61回で取り上げたCOVID-19デジタル接触追跡アプリケーション向け欧州連携ゲートウェイサービスの場合、欧州委員会が2020年6月16日に公表した「接触追跡アプリケーションの相互運用性に関する技術仕様V1.0」(関連情報、PDF)の中で、監査条件を保証するために、全ての連携ゲートウェイサービスへのリクエストは、監査ログを生成する監査モジュールを通過させて、データベース内にログ、イベントストリーム、テーブルを生成するよう推奨している。監査モジュールのデータを活用すれば、標準的な可視化ツール(例:Tableau、Kibana、Splunk、Grafana)を経由して、ダッシュボード上に表示することも可能である。
また、連携ゲートウェイサービスのデータプライバシーに関わる監査では、以下のような留意点および具体的な対策例を示している。
このようにEUの場合、共通ディレクトリ/ゲートウェイ機能のメリットを活用したガバナンスモデルの構築・運用に長けており、その経験/ノウハウをワクチン接種証明書のエコシステムにも生かそうとしている。
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