これらの状況に合わせた柔軟な対応に加えて、経営体質強化に向けた固定費抑制や変動利益改善への取り組み強化も着実に進行。損益分岐点台数として100万台を下回るレベルを目指す方針を示しているが、2021年度第1四半期は100万台を大きく割り込むペースで推移したという。
「2019年度第1四半期と2021年度第1四半期は販売台数がほぼ同じであるにもかかわらず、営業利益は2019年度第1四半期が70億円、2021年度第1四半期が261億円と大きな差がある。これは損益分岐点を引き下げることができているからこそ実現できていることだ。第1四半期では損益分岐点は販売台数の83%程度となっており、これを年換算すれば100万台を下回るレベルは達成できる」と藤本氏は考えを述べる。
ただ、これらの好要因があるにもかかわらず通期連結業績については慎重な姿勢を示す。「半導体供給や原材料価格の高騰など、先行き不透明な要素が多い。そのため、期初目標は据え置く」(藤本氏)としている。
好調な米国市場についても「ワクチンの普及や政権の経済対策の成果により、需要そのものが予測に対して好調であったことが要因としてあるが、通期で見た場合、反動が下期に出る調査などもある。半導体の供給不足がいつまで続くかも見切れていない。こうした不透明な環境に対し見極めていく。中間決算時に環境に対する変化についても踏まえた見通しにしていく」とマツダ 常務執行役員 ブランド推進・デジタル化推進・グローバルマーケティング・販売・カスタマーサービス担当の工藤秀俊氏は述べている。
決算会見では、EUが2035年以降のハイブリッド車を含むガソリン車販売禁止の草案を出したことについての質問も出たが「マツダでは、米国政府のEV普及強化の動きなども含めてこれらの動きを、『ある時期にある地域ではガソリン車が規制されるがそれ以外の地域ではガソリン車の販売が必要になる』ということだと解釈している。エネルギー事情や顧客の認識が地域や国によって異なる。その中でカーボンニュートラル化を視野に入れた上で、規制対策を含めたEV、PHEV、マイルドハイブリッドなどを含めたマルチソリューションを展開する」と工藤氏は語っている。
こうした新たな政府の動きに対する特別な対応については「基本的な戦略の変更はない」(工藤氏)とする。「欧州は草案段階だが、ガソリン車を禁止する方向に進む可能性は高そうだと見ている。ただ、それ以外の地域ではインフラ事情によって電動車以外のパワートレインが必要な地域もある。トランジット期間はこれらの両方の対応が必要になると考えている。現在ビジネス展開をしている130カ国の人々のモビリティ環境を維持するためにも地域に合わせたマルチソリューションを準備することが役割だと考えている」と工藤氏は考えを示している。
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