自動化仕様と加工性能、省エネ機能を強化した横形マシニングセンタFAニュース

オークマは、横形マシニングセンタ「MA-600H」シリーズの新製品「MA-600H III」を発表した。長時間の自動運転や脱炭素化といった多様なニーズに応えるため、自動化仕様の強化や加工性能の向上を図っている。

» 2021年05月28日 07時00分 公開
[MONOist]

 オークマは2021年5月11日、横形マシニングセンタ「MA-600H」シリーズの新製品「MA-600H III」を発表した。「止まらない機械」を目指して切粉処理性能を高めるなど、信頼性の向上や自動化への対応を強化している。

キャプション 横形マシニングセンタ「MA-600H III」 出典:オークマ

 MA-600H IIIは、機内カバー構造を最適化することで、堆積する切粉を削減し、同時に機内切粉洗浄機能を強化している。また、クーラントを用いないドライ加工時でも、残留切粉を的確に洗い流す最適な洗浄サイクルを設定可能になった。特別仕様のスラッジレスタンクは、クーラントタンク内に滞留するスラッジを回収率99%(鋳物を削った場合の実績値)で自動的に処理する。

 また、自動化対応として、加工物をクランプする治具類に油空圧を供給するポート数を、段取りステーション側は4から16ポートに、加工室側は4から7ポートに拡大している。これにより治具の単独動作が増え、多様な加工物を自動で把握したり、ロボットがワークを着脱したりできるようになる。

 さらに、新たに開発した特別仕様の広域主軸で、幅広い材種での高能率加工が可能になった。最高回転速度は1万min−1、トルクは652、349N・m、出力は45、30kW(短時間、連続)で、重切削能力が従来標準主軸と比較して68%向上した。

 テーブル割り出し時間や残留クーラント除去時間を短縮したことで、非切削時間と工具交換時間を大幅に削減。多様なワークに対応できるよう、X軸ストロークを延長して1050mmとし、最大ワーク寸法(直径1050×1200mm)を拡大した。

 独自の知能化技術「サーモフレンドリーコンセプト」により、優れた精度安定性を有する。経時熱変位は7μmと、従来比で13%向上。恒温室が不要なので、工場設備費用や消費電力を大幅に削減できる。ワーク当たりの消費電力量を可視化する新世代省エネルギーシステム「ECO suite」や、知能化省エネ機能「ECO アイドルストップ」など、脱炭素社会に貢献する機能も強化している。

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