これらを踏まえ、今後の取り組みとしては、「感動」やソニーが進む方向性(Purpose)としての「人に近づく」を基軸としつつ、「クリエイティブ」「テクノロジー」「世界」というキーワードで新たな取り組みを進める。ここでは特に「テクノロジー」での取り組みについて紹介する。
ソニーでは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」という目標を掲げており、テクノロジーについても「感動」を生み出すコンテンツクリエーションに関係する「クリエーションテクノロジー」と、これらをユーザーが体験する「体験テクノロジー」の2つに注力する。
「クリエーションテクノロジー」としては、コアとなるCMOSイメージセンサーの強化を進める。積層技術を生かしてモバイル向けCMOSイメージセンサーのさらなる進化に取り組む他、多用途での展開を強化する。その他独自機能を強化したデジタル一眼カメラや、画像判定支援システム「Hawk-Eye」、クリエイティブ用途専用のドローン「Airpeak」、バーチャルプロダクション領域の強化などを推進する。
「体験テクノロジー」としては、2020年に発売したPlayStation 5(PS5)の展開を強化する他、新たに次世代VRシステムの開発を進めているという。「PS VRでの知見を生かしながら最新センシング技術を盛り込む」(吉田氏)。また、ゲーム体験強化のために、2020年に設立したSony AIとPlayStation分野において協業を進める。AIの強化学習を活用し、プレイヤーの対戦相手もしくはパートナーとなるゲームAIエージェントの開発を進めているという。
また、モビリティについての強化も推進する。ソニーでは2020年のCESでEVの試作モデル「VISION-S Prototype」を発表し、公道走行テスト、高速走行下での5Gを用いた通信の実証実験などを進めている。探索領域として開発を進め、車載センシング技術により、モビリティの進化に貢献していく方針だ。
2014年にソニーとして初の車載カメラ向けCMOSイメージセンサーの商品化を発表し、フロントセンシングをはじめカメラによる車外センシング、車内センシング、LiDARなどの研究開発を進めてきた。「こうした活動は実を結びつつあり、今後数年の時間軸でモビリティの安全領域で貢献できる機会が増えつつある」(吉田氏)。
また、車載以外のIoTセンシング領域にも積極的に進出する。ソニーではCMOSセンサーの積層化技術を強化しており、AIロジックチップと画像チップを一体化し、エッジでの情報処理をより容易に行えるようにしている。これにより「リテールなどでのスマートカメラをはじめとしたソリューションの構築や実証実験を着々と進めている」(吉田氏)。
その他、DTCの強化により、現在世界で1億6000万人とエンタテイメントを中心につながっている状況を10億人に拡大することを目指す。「この10億人の動機に近づきつながることをソニーグループの今後の成長につなげていきたい」と吉田氏は語っている。
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