量産樹脂製品設計の現場でよくあるトラブルを基に、その原因と解決アプローチについて解説する連載。第6回は、パーティングラインに溶融樹脂が入り込むことで生じる「バリ」をテーマに、その発生原因と対策を詳しく説明する。
皆さん、こんにちは! モールドテックの落合孝明です。本連載「2代目設計屋の事件簿〜量産設計の現場から〜」では、量産樹脂製品設計の現場でよくあるトラブルを基に、その解決アプローチについて詳しく解説していきます。
それでは早速、今回の相談内容を見ていきましょう。
ある製品で成形するとバリが発生してしまいます(図1)。バリの発生の原因とその対策を教えてください。
「バリ」というのは、パーティングライン(後述)に溶融樹脂が入り込むことで生じる薄肉のことをいいます。文章にすると少々分かりにくいかもしれませんが、「たい焼きの周りにはみ出ている薄い生地の部分」(図2)といえば、バリをイメージしやすいでしょうか。たい焼きであればお得感のあるバリですが、成形品では当然NGとなります。
ちなみに、パーティングラインとは金型が分割される位置のことで、「PL」と訳されます。このPLに隙間があるとバリが発生します(図3)。
バリが発生する原因はPLの隙間だと述べましたが、なぜPLに隙間ができてしまうのでしょうか。大きく3つの可能性が考えられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
最初はバリが出ていなかったのに、成形を繰り返していくうちにバリが発生してしまう場合は、金型の摩耗が考えられます。何万回も成形するようなケースでは金型が摩耗してしまうため、金型のメンテナンスをする必要があります。
また、ガラス繊維入りの樹脂などを成形する場合は金型の摩耗が激しくなるため、数百回程度の成形でバリが出ることもあります。そういったケースでは、最適な金型材料を選定する必要があります。
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