AWSは、Amazon Braketを展開する際に、プロフェッショナルサービスとなる「Amazon Quantum Solutions Labs」による有料コンサルティングの他、パートナーの協業も重視している。国内パートナーはblueqat(ブルーキャット)とQunaSysの2社があり、会見ではblueqat CEOの湊雄一郎氏が登壇し、同社の量子コンピューティングサービス「blueqat cloud」などについて説明した。
blueqat cloudは、量子コンピュータのソフトウェア開発をクラウドベースで行える開発環境であり、Amazon Braketはこれらのソフトウェアを実際の量子コンピュータ上で動作させる際に利用されている。blueqat cloudは個人向けの無料版と、月額で利用料金がかかるエンタープライズ版がある。Amazon Braketを用いた量子コンピュータの利用料金は、あらかじめ購入するクレジット単位で決まっており「1クレジットでD-Waveが1回計算可能」など、Amazon Braketの価格よりもさらに分かりやすくなっている。
湊氏は「現在の量子コンピュータの用途は大きく分けてビジネスと研究開発に分かれる。特にビジネス用途では、3年計画で行われることが多く、技術検討で1〜2年、何らかのアプリケーションとして実装する事業化検討で1年という構成になっている」と述べる。
1年目の検討初期段階では、小規模なチーム構成で量子コンピュータに関連するハードウェアやソフトウェアをいろいろと試して広範な技術習得を行った上で、社内に調査報告書を提出する。2年目は、業界別で利用できるソフトウェアなどが分かれているので、それらを絞り込んで深堀していく。ここでもアウトプットとしては調査報告書になる。3年目は、検討の最終段階として手で触って使えるアプリケーションとして実装し、実際の利用を通して有用性を確認する。
blueqatのユーザー事例としては、旭化成、凸版印刷、コーセーなどを挙げた。旭化成は、シミュレーターを活用した量子化学計算に加えて、D-Waveの量子アニーリングを用いた業務効率化、量子機械学習で物性の予測モデルを実行するマテリアルズインフォマティクスへの応用を行っている。凸版印刷は、ビジネス用途ではD-Waveによる物流の計算、研究開発用途では量子機械学習の基礎学習で利用している。コーセーは、原料や処方をデータ化し、狙った特性を計算で導き出す機械学習や最適化に用いているという。
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