ペン氏は就任以来、プラットフォームソリューションの展開にも注力してきた。データセンター向けのAlveo演算アクセラレータカードや、サムスン(Samsung)と開発したコンピューテショナルストレージなどを展開している。産業用途ではKria SOM(システム オン モジュール)など、ドメインごとに最適化したカード製品のラインアップ拡張に努めている。
ハードウェアの強化だけでなく、ソフトウェア領域でも顧客志向の開発を続けるとして、ペン氏は「新規ユーザー向けにAPIを充実させる他、ライブラリを拡充したり、開発環境自体を提供したりする必要があると考えている。プログラミング言語ではCやC++、Pythonに、標準フレームワークとしてTensorFlow、PyTorch、Caffeに対応する」と説明した。
また、ペン氏は競合他社に対するザイリンクス独自の強みとして、「アダプティブコンピューティング技術によって、AIアプリケーションに合わせたハードウェアの高速化が果たせる点だ」と語った。こうした技術力を表すのがザイリンクスのAIエンジンを搭載したVersalと非搭載のUltraScale+による比較実験で、GoogleNetによる画像分類実験を行った場合、Versalでは20倍の速度で処理ができたという。
ペン氏はCEO就任以降の事業展開の総括と今後の展望について「2018年以降、成長戦略を大きく進めることができた。コア市場に当たる5G、自動車、ISM、A&Dでは、多くの製品を提供している。アダプティブコンピューティングを加速するための施策を打つとともに、製品のエコシステムを整備することで、既存の顧客にはさらなる付加価値を提供しつつ、新規顧客も呼び込める戦略を実現していく」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.