ファンケルは、触覚に関係すると考えられているメルケル細胞のモデル細胞を検討し、「ヒトメルケル細胞癌由来細胞株MCC14/2」が、生体メルケル細胞の特徴を持つことを確認した。今後、皮膚科学研究への応用が期待できる。
ファンケルは2021年4月21日、触覚に関係すると考えられているメルケル細胞のモデル細胞として使用できる細胞を検討し、「ヒトメルケル細胞癌由来細胞株MCC14/2(MCC14/2)」が、生体メルケル細胞の特徴を持つことを確認したと発表した。
これまで、メルケル細胞には43の遺伝子が発現することが報告されている。そのうち確認可能な39の遺伝子について調べたところ、MCC14/2に29の遺伝子の発現が確認できた。つまり全体の約75%がメルケル細胞と同一の遺伝子であることが分かった。
また、メルケル細胞に特徴的なタンパク質であるCytokeratin-8(CK-8)と、機械刺激感受性イオンチャネルPiezo2が、MCC14/2でも高い確率で発現していることを確認した。
さらに、メルケル細胞に存在することが知られる神経伝達物質のグルタミン酸、グルタミン酸の細胞内輸送に必要なVGLUT2分子、肌状態と関連するオキシトシンがMCC14/2でも発現していた。
指先に多く存在するメルケル細胞は、人間の生体にわずかしか存在しないため、実験上の取り扱いが難しい。ファンケルは皮膚のアンチエイジングという観点からメルケル細胞に着目。産業技術総合研究所の協力のもと、皮膚の研究をしている。今回の成果より、MCC14/2がメルケル細胞のモデル細胞として利用できることが分かった。
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