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» 2021年04月15日 10時00分 公開

量産試作の「組み立て」と「検証」は慎重に!! 確認すべき事項とその注意点アイデアを「製品化」する方法、ズバリ教えます!(6)(3/3 ページ)

[小田淳/ロジ,MONOist]
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落下試験を5回もやり直した

 筆者がソニーに入社して4年目のころ、9インチのモニターを設計していた。テレビ撮影の野外ロケで使用するモニターだ。このモニターはハンディー製品であったため、“高い位置から落下させても問題が起きないこと”という社内規格があった。まだブラウン管の時代の製品であり、ガラス製のブラウン管は結構な重量であった。

 いざ落下試験を行ってみると、ガラスのネック部分が割れてしまった。だが、設計的にはネックがぶつかる所はどこにもない。また、不思議なことに、試験の2回に1回くらいはネックが割れないのだ。結局、この原因が分かるまでに、落下試験を繰り返しブラウン管を5個も破損させることになってしまった。とても苦い経験である。

 原因は、ハーネスであった。製品を落下させると、重たいブラウン管のネックは製品内部で大きく動く。ネックの先端には基板が付いており、その基板にはコネクターが刺さり、そこからハーネスが出ている。ネックが動くと空中にあるハーネスが別部品に接触してハーネスがピンと張り、基板を介してネックにストレスがかかって割れてしまう……ということだった。

 筆者は、落下によってネックが10mm程度動くとは知らず、またハーネスがガラスのネックを割ってしまうなどということは考えもしなかった。これは筆者の経験不足であった。しかし、ここで大切なことは、試作品であるハーネスの空中での位置を、試作組み立てのときに取り決めた位置にしていなかったことだ。落下試験にハーネスの位置は関係ないだろうと思い込み、いいかげんな位置のままにしていたのだ。前述した、試作品の準備を入念にしておくことを怠ったために発生した出来事だ。

 原因がハーネスにあると分かるまでに、同じ試験を何度も繰り返す羽目になり、ブラウン管を5個も割ってしまったことは、試作コストと時間のムダ遣いに他ならない。ハーネスを試作組み立てのときに取り決めた位置にしておけば、このような事態を招くことはなかったのだ。

試験を行う試作品のハーネスの位置をいいかげんにしてしまい、試験を何回も繰り返す羽目に…… 図3 試験を行う試作品のハーネスの位置をいいかげんにしてしまい、試験を何回も繰り返す羽目に…… [クリックで拡大]

次回へ続く

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筆者プロフィール

小田淳

小田淳(おだ あつし)

上智大学 理工学部出身。ソニーに29年間在籍し、メカ設計者としてモニターやプロジェクターを製品化する。モノづくりのベンチャー企業の方とお話する中で、「製品化」という知識がないばかりに、適切でないエンジニアを採用してしまった、売っても損をする、製品が法規制を守っていなかった、などの問題を抱えている企業が多くあることに気付く。素晴らしいアイデアと志を持ちながら、多くの資金と時間を浪費している状況を目の当たりにし、コンサルや研修を始める。製品化のいろはコンサルタント ロジ代表。

ロジ Webサイトhttps://roji.global/

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