ハンズオフが可能になるのは、高速道路の本線に入り、周辺環境のセンシングによってシステムがハンズオフ可能な状況であると判断してから。ドライバーが表示を確認してスイッチを押すとステアリング、アクセル、ブレーキの全ての操作が自動となる。
追越車線に移る車線変更は、システムからの提案に対してドライバーが応じ、ステアリングを保持した場合、ウインカーとステアリング操作が自動で行われる。元の車線に戻る場合も同様の手順を踏む。
ジャンクションでの分岐は「移動先の方向を見てください」というシステムのアナウンスに従ってドライバーが安全確認すると、システムがステアリング操作を行う。カーブでの速度制御では車線の中央を把握できる高精度地図を基にして車両を制御し、状況によっては制限速度以下まで減速する。
ドライバーが安心して運転を任せられることを重視した制御も盛り込んだ。隣の車線をトラックなど大型の車両が走行しているのを認識すると、少し避けるようにして同一車線の走行を続ける。前方に本線に合流しようとしている車両がいる場合は、速度を落として合流する車両と安全な距離を保つ。
前田氏は、自動運転のレベルを上げることよりもドライバーが運転を安心して任せられるかどうかが重要であることを強調した。「自動運転がレベル3なのかレベル2なのかではなく、ユーザーが乗っていてどう感じるか、安心して運転を任せられるかどうかにこだわっている。われわれの狙い通りかどうか、ぜひフィードバックをいただきたい」(前田氏)。
また、Woven Planet Holdings(ウーブン・プラネット・ホールディングス)のCTOである鯉渕健氏は「自動運転で究極の安全と移動の自由を実現すると考えると、オーナーカーは自分で運転を楽しみながら、運転したくない場面を任せられるミックスされたシステムが合うのではないか。そこから“チームメイト”というコンセプトに行き着いた。自動運転のレベルを上げればユーザーがうれしいのか、使いこなすのが難しいのではないか、システムからドライバーへの運転交代が多発するとわずらわしいのではないか、と考えてきた。使いやすさ、便利さ、嬉しさのバランスを試しながら分析している」と語った。
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