Armv9はセキュリティ関連の機能拡張も重視しており、その代表となるのがCCAだ。Armv8では、アプリケーション処理などを行うセキュアな領域と、ハイパーバイザー上で処理するノンセキュアな領域に分割したファームウェアを提供していた。
CCAでは、セキュア領域とノンセキュア領域からも分離された、あらゆるプログラムが利用可能な「レルム(Realms)」という新たな領域を動的に生成するというコンセプトを導入する。例えば、業務アプリケーションの場合、レルムによって、使用中あるいは待機中、移動中の機密データやコードを他のシステムから保護できるという。
レルムの管理は、ArmのセキュリティIP「TrustZone」をベースに開発した「Realm Manager」によって行う。レルムのために確保するメモリを動的に設定できるので、TrustZoneと比べてもデータ保護が容易になるとしている。CCAの技術詳細は、2021年夏に発表する予定だ。
セキュリティ関連では、グーグル(Google)と共同開発した「Memory Tagging Extensions」も導入する予定だ。この技術は、タグとポインタを使ってメモリ使用の正しさを確認するもので、Android 11とLinuxの「OpenSUSE」にも採用される予定だという。
グリセンスウェイト氏は、Armv9のインパクトについて「『Armv7』ではベクトル演算処理器『NEON』の導入、Armv8では32ビットから64ビットへの移行というトピックがあった。Armv9は、64ビット化による全面刷新という大きな変化のあったArmv8とArmv7の中間くらいのイメージだ」と述べている。
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