フォークボールはなぜ落ちる? スパコンによる空力解析で謎を初めて解明CAE最前線(3/3 ページ)

» 2021年03月25日 13時00分 公開
[八木沢篤MONOist]
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リリース後のボールの軌道を高精度に再現

 さらに、今回の研究成果により、投手がボールをリリースした直後の「球速」「回転速度」「回転軸」の3つの要素から、その後のボールの軌道を高精度に再現できることも確認した。これにより、ボールの縦方向の変化を捉えることが可能となり、例えば、縫い目の違いに着目して、球速が時速151.2kmで回転数が1110rpmのツーシーム(フォーク)とフォーシームを比較すると、縦方向の変化の落差が19.1cmもあることが判明。さらに、回転数の違いで見てみると、球速が時速151.2kmで回転数が1110rpmのフォーシームと、同じ球速で回転数が2230rpmのフォーシーム(ストレート)とでは、縦方向の変化の落差が11.3cmあることが分かった。

ピッチャーからバッターまでのボールの軌道について ピッチャーからバッターまでのボールの軌道について ※出典:東京工業大学、九州大学、慶応義塾大学 [クリックで拡大]

 その他、プロ野球チーム「福岡ソフトバンクホークス」の千賀滉大投手が投げる落差の非常に大きなジャイロ回転(ボールの進行方向と回転軸が一致するライフル回転)のフォークボールについても解析。その結果、先の1110rpmのツーシーム(フォーク)よりもさらに軌道の落差が大きい(自由落下の放物線軌道よりも落ちる)ことが確認できたという。

ジャイロボールの軌道について ジャイロボールの軌道について ※出典:東京工業大学、九州大学、慶応義塾大学 [クリックで拡大]

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