東京工業大学は、エッジデバイスに適した小型省電力プロセッサを設計し、そのプロセッサのLSIを開発した。従来品に比べて1.4倍高速で、電力効率は2.7倍、エネルギー効率は3.8倍を達成している。
東京工業大学は2021年2月19日、同大学工学院情報通信系 准教授の原祐子氏らの研究グループが、エッジデバイスに適した小型省電力プロセッサを設計し、そのプロセッサの大規模集積回路(LSI)を開発したと発表した。異常検出など、必要な計算を高速処理するための機能に限定したことで、小型化と省電力を両立した。
研究グループは、減算、シフト、論理演算、メモリアクセスの4種類の命令で構成されるRISCプロセッサ「SubRISC+」を開発。エッジデバイスで必要となる計算処理に機能を限定したことで、配線半ピッチ65nmのCMOSプロセスを活用しつつ、1×1mmサイズの小型LSIを可能にした。
5MHz駆動時の消費電力は77.0μWで、市販のアルカリボタン電池「LR44」を使って約100日間連続稼働できる試算だ。32ビットの組み込みプロセッサ「ARM Cortex-M0」での処理と比較して1.4倍高速となったほか、電力効率は2.7倍、エネルギー効率は3.8倍を達成した。
今回の研究で開発したSubRISC+のプロセッサLSIは、データメモリ4KB、命令メモリ2KB。高い電力効率で、異常検出やデータ探索をリアルタイムに実行できる。今後は、プロトタイプのサンプル出荷や展示会への出展を検討しているほか、IoT(モノのインターネット)セキュリティ向けに拡張した同プロセッサの試作および実用化を進める。
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