富士キメラ総研は、医療およびヘルスケア分野における、IoT関連の国内市場調査の結果を発表した。遠隔医療関連、スマートウェアソリューションの市場拡大が予想されている。
富士キメラ総研は2021年2月4日、医療およびヘルスケア分野における、IoT(モノのインターネット)関連の国内市場を調査し、その結果を「IoMT(Internet of Medical Things)新市場の将来展望2021」として発表した。2025年の市場規模は、遠隔医療関連が2019年比79.3%増の432億円、スマートウェアソリューションが同300.0倍の300億円となる見通しだ。
調査では、高度化する医療およびヘルスケア分野のソリューション30品目を「ニューメディカルソリューション」「メディカル/ヘルスケアフュージョン」「ダスト&インフェクションコントロール」の3カテゴリーに分類。2020年8月〜11月にかけて、ヒアリングや関連文献、データベース活用して市場の現状と将来を調査分析した。
2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、メディカル領域とヘルスケア領域の各市場は急激に変動した。低迷する市場がある一方で、オンライン医療ソリューションなどの遠隔医療関連、滅菌や殺菌関連装置の導入が進むダスト&インフェクションコントロール市場は拡大した。
オンライン診療は、2020年の診療報酬改定に加え、新型コロナウイルス感染症の流行による特別措置として初診から認められたことで、大幅な伸びを示した。また、2020年に解禁となったオンライン服薬指導と合わせ、非対面で医療行為が完結できるようになった。こうしたことから、2020年のオンライン医療ソリューションは前年比38.3%伸長し、2025年には197億円になると予測される。
医療機器としてのスマートウェアソリューションは、承認取得が進められており、2019年は治験を兼ねた導入が主体だった。2020年はメーカーの医療機関訪問が制限されたことから試験導入が遅れているが、今後はてんかんや心房細動などの疾患で本格的な活用が期待されている。
手術・治療支援ロボット関連は、2009年に初めて薬事承認を得た手術支援ロボット「da Vinci」の特許が2018年に切れたことで、複数の企業が新規参入を開始。5GやAI(人工知能)などを用いた新規サービスの増加や低コスト導入が期待され、2025年には183億円と、2019年比2.1倍の拡大が予想されている。
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