矢野経済研究所は、国内の倉庫内物流テック市場に関する分野別動向の調査結果を発表した。物流のデジタル化が進み、倉庫内物流テック市場は伸長すると予測している。
矢野経済研究所は2021年1月25日、国内の倉庫内物流テック市場に関する分野別動向の調査結果や将来展望を発表した。物流のデジタル化が進み、倉庫内物流テック市場は伸長すると予測している。
物流業界において、クラウド型サービスや音声認識、AI(人工知能)、RFIDなどのシステムを提供する倉庫内の物流テックサービスが注目されている。
これまで物流テックを導入できるのは、投資力があり、IT専門の部署や人材を擁する大手企業に限られていた。同社によると、近年は月額課金制のサービスや人材不足を補う外部サービスが充実してきたことで、中堅の物流業者にも導入が進みつつあるという。
今回の調査は、物流システムやサービス提供事業者を対象としたもので、物流テックサービスに関して、導入難易度や適正倉庫規模、新型コロナウイルス感染症拡大状況下における動向、投資金額規模を評価した。
同社は、物流テックの中で、2015年頃から導入が進み、プレイヤーが定まってきた市場を「アーリー市場」と分類している。該当するシステムとして、入出庫や在庫を管理する「クラウド型WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)」や、トラックの入出庫を管理する「バース予約、受付システム」、作業員の出退勤や作業内容を管理する「作業の可視化、業務日報のデジタル化ツール」、各種作業を支援する「音声認識システム」がある。
アーリー市場は堅調に推移しており、同社ではその要因として、導入難易度が比較的低いこと、新型コロナウイルス感染症拡大により、デジタル化機運が高まったことを挙げている。
また、今後新たな展開が予測される市場を「シード市場」として、「AI分野」と「RFID活用」を分類。シード市場は、現在検品や棚卸し、ピッキング作業などを対象に多くの実証実験が実施されており、2021年には物流現場で本格稼働に向けた動きがあると予測している。
なお、物流テックの導入メリットとしては、省人化やコスト低減に寄与すること、紙(アナログ)からデジタルへの管理移行によりデータ連携や情報共有、ルールの標準化が容易になること、ノウハウをAIでの判断に活用できることなどを挙げている。
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