新型コロナウイルスの流行で幕を開けた2020年度。自動車販売は世界各国で落ち込んでおり、国内自動車メーカーも大きな打撃を受けていると報道されています。
本記事は自動車業界の転職サイト
「オートモーティブ・ジョブズ」からの転載です。
新型コロナウイルスの流行で幕を開けた2020年度。自動車販売は世界各国で落ち込んでおり、国内自動車メーカーも大きな打撃を受けていると報道されています。
実際、各メーカーの業績は前年度からどの程度悪化しているのでしょうか。国内自動車メーカー8社が公表している2020年度上半期(2020年4月1日〜9月30日)の決算資料をもとに、業績と販売台数の中間結果をまとめました。
まずは、売上高と営業利益へのダメージが大きな企業からみていきましょう。
前年度上半期と比べて特に売上高の減少率が高かったのは、三菱自動車、日産自動車、マツダの3社。いずれも減少率は30%を超えており、営業損失を計上して最終赤字に落ち込む結果となりました。
最も打撃が大きかった三菱自動車の20年度上半期売上高は5749億円で、前年同期の1兆1280億円から49.0%減少。主力市場のASEAN地域ではインドネシア・フィリピンで活動制限が続いており、ほかの地域と比べて自動車需要の回復が遅れている状況。売り上げの3割近くを稼ぐ地域だけに、業績全体へのダメージも大きくなっています。
次いで減少率が高かったのは、日産です。20年度上半期の売上高は3兆927億円で、前年同期と比べて38.2減少。20年度から主要市場に位置付けた日本・中国・北米のうち、日本と北米での販売が伸び悩みました。
同社は新型コロナウイルスへの対応とともに構造改革にも着手しており、「特に在庫管理の徹底や生産能力の最適化による固定費の削減には一切の妥協なく取り組み、当社のコストベースを改善していきます」とテコ入れの手を止めない方針を示しています。
乗用車メーカーのなかで最も影響が小さかったのは、7位のSUBARUです。20年度上半期の売上高は1兆2184億円で、前年同期から24.1%減少。第1四半期(4月〜6月)は他社と同様大きく落ち込みましたが、第2四半期(7月〜9月)は主力の北米が回復基調に入ったことから、上半期トータルでのダメージを小幅に抑えられました。
続いて、販売台数への影響をみていきましょう。
販売台数の減少率が高い企業1位と2位は三菱自動車と日産で、業績と同じ顔ぶれ。三菱自動車は前年同期比40.7%減、日産は同32.1%減となっています。
3位のスズキは、前年同期と比べて販売台数が31.4%減少。四輪車販売の5割近くを占める主戦場のインドがロックダウンとなったことが響きました。
販売台数の減少幅が最も小さかったのは、トヨタです。ダイハツ・日野自動車を含めたグループ総販売台数は、前年同期比20.0%減の436.6万台。20年度は4年連続で販売台数が世界トップだったVWを上回ると期待がかけられており、コロナ禍でも堅調に売り上げを伸ばしています。
最後に、各社の20年度通期の業績見通し(第2四半期の決算を公表時点)をまとめました。
8社のなかで最も業績が悪化すると見込まれているのは、上半期の売上高・販売台数ともにダメージが大きかった三菱自動車。20年度の売上高は前年度比34.8%減の1兆4800億円に落ち込む予想です。
ほかの7社は、前年度と比べて10〜20%のマイナスとなる予想。減少率の大小こそあれ、どの企業にとっても苦戦を強いられる1年となることに変わりはないでしょう。
自動車市場は回復の兆しが見えつつあるものの、先行きは不透明な状態が続きます。この先しばらくは、影響を最小限に抑えつつ、電動化へと舵を切るための投資も求められる正念場となるでしょう。
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