トヨタ自動車グループの自動運転開発体制で先行開発を担ってきたTRI-AD(Toyota Research Institute Advanced Development)は、2021年1月から新体制で動き出した。これまでは車載ソフトウェアの開発会社だったが、スマートシティのように自動車やモビリティを超えた取り組みに挑むため役割分担を明確にする。
トヨタ自動車グループの自動運転開発体制で先行開発を担ってきたTRI-AD(Toyota Research Institute Advanced Development)は、2021年1月から新体制で動き出した。これまでは車載ソフトウェアの開発会社だったが、スマートシティのように自動車やモビリティを超えた取り組みに挑むため役割分担を明確にする。
TRI-ADは、トヨタ自動車とデンソー、アイシン精機が共同出資で2018年3月に設立。トヨタ自動車の米国子会社Toyota Research Institute(TRI)などが取り組む自動運転技術に関する研究を製品開発に橋渡しする役目が課された。人材を集めるため本社を日本橋に構えただけでなく、ソフトウェアエンジニアの仕事の進めやすさや働きやすさにこだわった環境を整えた。
「ソフトウェアファースト」な開発や、「ソフトウェア定義アーキテクチャ(Software Defined Architecture)」による価値創出で自動運転技術や安全技術、スマートシティに貢献していくため、新体制に移行した。持株会社「ウーブン・プラネット・ホールディングス」の下、事業会社として自動運転技術を手掛ける「ウーブン・コア」と新領域の事業機会の探索に取り組む「ウーブン・アルファ」、投資ファンドの「ウーブン・キャピタル」が活動する。
TRI-ADの事業のうち、自動運転技術の開発や実装、市場導入はウーブン・コアが担当する。ウーブン・アルファでは、トヨタ自動車東日本の東富士工場跡地で2021年2月23日に着工するコネクテッドシティ「Woven City(ウーブンシティ)」や、自動運転車向け高精度地図の普及を促進するために車両から得られるセンサーデータをオープンに共有する「Automated Mapping Platform(AMP)」、車載ソフトウェアの開発プラットフォーム「Arene(アリーン)」といったTRI-ADが手掛けた新領域の事業拡大を狙う。ウーブン・プラネット・ホールディングスと事業会社2社は本社を東京・日本橋に置く。
ウーブン・キャピタルは本社が米国で、自動運転モビリティや人工知能(AI)、機械学習、データアナリティクス、スマートシティなどを投資対象とする。運用総額は8億ドル(約837億円)。Toyota AI Venturesの投資先企業へのさらなる投資も行う。
2021年1月29日に開催したオンラインイベントでは、ウーブン・プラネット・ホールディングス、ウーブン・コア、ウーブン・アルファ、ウーブン・キャピタルの責任者が出席し、展望を語った。ウーブン・プラネット・ホールディングス CEOのジェームス・カフナー氏は新体制について「分社化は柔軟性をもたらす。新しいビジネスの進展につながる体制だと考えている。今後の成長に向けた強い基盤を作っていくことが目下の目標だ。小さい会社ならではの柔軟性や機動性を生かしながら、規模の拡大につなげていく」と語った。
それぞれ別会社となるものの、同じオフィスを使用するウーブン・コアとウーブン・アルファは密接にコミュニケーションをとっていく。ウーブン・プラネット・ホールディングス COOの虫上広志氏は「モビリティの部分と、モビリティを超えた部分。それぞれが手をつないでいくための技術開発に、個別に集中できることが新体制のメリットだ」と語る。
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