3Dプリンタや3Dスキャナ、3D CADやCGツールなど、より手軽に安価に利用できるようになってきたデジタルファブリケーション技術に着目し、本格的な設計業務の中で、これらをどのように活用すべきかを提示する連載。第7回は、造形終了後の“後処理”にフォーカスし、その手順について詳しく解説する。
前回は「造形品質を大きく左右する3Dプリンタのキャリブレーションの重要性」というテーマで、3Dプリンタの“段取り”について取り上げました。今回は、造形終了後の“後処理”にフォーカスし、詳しく解説していきます。
それでは、一般的な「材料押出(熱溶解積層法/FDM方式)」の3Dプリンタを例に、造形後のアプローチについて見ていきます。
まず、造形テーブルから造形物を取り外します。造形物と造形テーブルとの間に、ヘラやスクレーパーなどを少しずつ挿入し、剥がしていきます。このとき、強固に密着されていて剥がしにくい場合もあります。造形物、造形テーブルを傷つけないように注意してください。
3Dプリンタの機種によっては、造形終了後、造形中に温められていた造形テーブルが冷えて簡単に造形物を剥がせるものや、造形テーブルを3Dプリンタから取り外し、軽くひねって反らせることで簡単に造形物を剥がせるものなどがあります。
造形テーブルから造形物を外した後は、ラフトやサポート材の除去を行います。
3Dプリンタの機種や材料によっては、サポート材を水や強アルカリ溶液などで溶かすことができるタイプもありますが、一般的にラフトやサポート材は造形物のモデルと同じ材料が用いられるため、ニッパーやペンチ、手などで引っ張り剥がしていきます。サポート材を剥がす際、誤って手を切ってしまったり、破片が目に入ったりする恐れもありますので、作業中は手袋や保護メガネをすることをオススメします。
また、サポート材を除去する際、あまり厚みのない細い箇所などは、造形物を誤って破損しないように十分注意して作業してください。
サポート材を取り除く作業は想像以上に手間が掛かります。その手間をできるだけ軽減するには、造形を開始する前に、モデルの配置やサポート材の設定などを考慮しなければなりません。
表面の仕上げ方法については、3Dプリンタで造形する目的によって異なりますが、紙やすり(サンドペーパー)などを使用して磨いていくことで、ある程度まで表面を滑らかにできます。
ただし、使用する3Dプリンタの機種や材料、造形方向にもよりますが、FDM方式の場合、どうしても“積層痕”が目立ちます。そのような場合、材料がABS樹脂であれば、アセトンで表面を溶かして滑らかにすることも可能です。
色などを塗りたい場合には、模型用のサーフェーサーを吹き付けたり、パテなどで造形できていない部分(予期せぬ穴や隙間など)を埋めたりなどして下地処理を行い、模型用塗料などで塗装します。プラモデルに色を塗るのと同じ要領ですね。
塗装の他にもメッキ処理を施して見栄えを良くし、衝撃に対する強度や耐久性を上げる後処理を行うこともあります。
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