本連載では、例として、FDM方式の3Dプリンタを取り上げることが多くありますが、「液槽光重合(光造形/SLA)」の3Dプリンタの後処理についても紹介します。
特に最近では、数万円で購入できるSLA方式の3Dプリンタも登場しており、気軽に導入できるようになってきました。後処理も導入の決め手となりますので、以下の内容をSLA方式3Dプリンタの導入検討にお役立てください。
SLA方式の場合、造形テーブルから造形物を取り外す作業は、基本的にFDM方式と同じですが、サポート材を除去する前に行う作業があります。
それは、アルコールによる造形物の洗浄と2次硬化です。アルコールは「イソプロピルアルコール(IPA)」を主に使用します。アルコールの購入と保管が必要となりますが、最近は水で洗える手軽な材料も登場しています。
SLA方式では、「レジン」と呼ばれる光硬化性の液体樹脂を材料に使用し、紫外線を照射して硬化させながら積層していきます。少しずつ造形物が液体樹脂材料のプールの中から引き揚げられていくわけですが、造形物の表面にベトベトした“未硬化の樹脂”が付着してしまうため、洗浄作業が必要になります。
洗浄時間は、3Dプリンタの機種や材料によって変わってきますが、数分〜十分程度行います。長期間アルコールに漬け過ぎると造形物が溶けてしまう可能性があるので、説明書や注意事項をよく読んでから行ってください。
洗浄後、造形物を乾燥させた後、2次硬化に移ります。
2次硬化は、紫外線ランプや太陽光などの光を照射して行います。材料の種類によって、2次硬化が不要なものもありますが、一般的に高耐久樹脂や耐熱性樹脂などは、2次硬化をしないと本来の性能を発揮できません。2次硬化処理を施すことによって、完全に硬化されていない層と層との間を硬化させます。
3Dプリンタの機種によって、専用の洗浄機や2次硬化装置が販売されています。太陽光や市販のネイルドライヤーなどでも代替可能ですが、3Dプリンタと2次硬化する紫外線の波長を合わせるのが望ましいとされています。
洗浄し、2次硬化させた後は、サポート材の除去になります。
SLA方式の場合、サポート材は造形物と同じ材料になるので、FDM方式と同じくニッパーなどを使用してサポート材を除去していきます。SLA方式では、造形物とサポート材の接続部を細くするなどして、切り離しやすくするといった工夫がよくとられます。
サポート材除去後の仕上げについては、FDM方式と同様に、紙やすりで表面を仕上げ、サーフェーサーを塗布して塗装するといったことも可能です。
SLA方式の場合、FDM方式と比べて繊細な形状や表面を滑らかに3Dプリントできる特徴があります。しかし、前述したような後処理が必要になりますので、3Dプリンタの導入を検討する際は、この点(後処理の手間)についても十分に考慮すべきでしょう。
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