「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像

ユーザーを察するクルマの実現へ、AZAPAが感性可視化プロジェクトを開始車載情報機器

AZAPAは2020年10月29日、人間の感性や感情を可視化してプロダクトやサービスに応用することを目指すプロジェクト「プロジェクトオリーブ」を開始したと発表した。

» 2020年10月30日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 AZAPAは2020年10月29日、人間の感性や感情を可視化してプロダクトやサービスに応用することを目指すプロジェクト「プロジェクトオリーブ」を開始したと発表した。自律神経や表情の解析にとどまらず、生体センシングを活用して感性や感情が移り変わる文脈や状況も踏まえて可視化する。さまざまな業界の企業と連携しながら、ユーザーのニーズに即した製品やサービスの実現につなげる。

プロジェクトオリーブの概要(クリックして拡大) 出典:AZAPA

 表情や生体データから感情を推定する「アフェクティブコンピューティング」はさまざまな企業や団体によって研究されているが、「文脈を考慮していない感性の可視化では断片的なデータの集合体に過ぎず、価値を生かしきることはできない」(AZAPA チーフサイエンティストの橋本一生氏)という。AZAPAでは文脈や状況を考慮した計測と、現実世界へのフィードバックを重視する。

 感情認識や顔認識の活用には批判的な意見が多い。プライバシーの保護だけでなく、企業が開発したアルゴリズムにおいて人種や性別によって精度に差が出た問題や、採用面接や住居の申し込みなど人生を左右しかねない場面で安易に感情認識や顔認識を判断基準とすることへの懸念などが指摘されている。プロジェクトオリーブでは、データ活用における倫理面の課題にも配慮しながら、さまざまな企業と連携してユーザー視点のサービス開発に取り組むとしている。

 プロジェクトオリーブでは、自動車の車内空間の設計や、働き方の多様化に対応した従業員のサポートなどをテーマに既に活動している。自動車に関しては安全運転がドライバーだけでなく同乗者の精神面にも影響することから、快適な自動運転車の実現に向けて乗員の感性を可視化することが重要だという。従業員のサポートでは、勤務形態の多様化を受けて、画一的な人事施策ではなく一人一人の業務やメンタルヘルスを充実させる仕掛けづくりに取り組むとしている。

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