NECは「リテールテックJAPAN 2019」(2019年3月5〜8日、東京ビッグサイト)において、感情分析ソリューションの実演をブース内で行った。
NECは「リテールテックJAPAN 2019」(2019年3月5〜8日、東京ビッグサイト)において、感情分析ソリューションの実演をブース内で行った。
ブースに立つ複数の同社説明員にウェアラブル端末を装着させ、計測した心拍から「興奮、喜び」「穏やか、リラックス」「憂鬱、疲労」「ストレス、イライラ」の4つのうちどの感情を持っているかを分析した。その結果、人出の多い展示会会場なのもあってか、「ストレス、イライラ」を感じているタイミングが目立つことが明らかになった。
同ソリューションは2018年6月に発表したもので、ウェアラブル端末で測定した個人の生体情報をクラウドに集めて分析、可視化するトータルのシステムをNECが提供する。現在50社ほどの企業と実証を進めている。同ソリューションに対応しているウェアラブル端末はTDKの「Silmee」のみ。
これは、感情分析の指標に心拍動を用いる上で、十分な測定精度のウェアラブル端末が少ないのが理由だ。「心拍と脈拍は同じものではない。心電図のように心臓の動きの強弱まで測定できるので、感情分析に用いることができる」(NECの説明員)。NECのソリューションでは心拍の変動から抽出した特徴量を独自アルゴリズムで分析し、覚醒度の高低、快不快の2軸で分類する。
ブースの説明員を対象とした感情分析の結果を示すディスプレイには、4つのうちいずれの感情にも該当しない結果の時間帯もあった。これはウェアラブル端末が十分に測定できていなかったことによるものだ。その要因は、女性の説明員の手首に合っていないことや、展示会の運営でウェアラブル端末を付けた説明員が動き回っていたことなどが考えられるという。これまでの実証でデスクワークが主体のケースでは、測定できていない時間帯は少なかったとしている。
NECはさまざまな業種の企業と感情分析ソリューションの実証を進める。多くの企業から従業員の感情を客観的に可視化できる手段として評価されているという。感情を可視化することにより、会議での発表に対する本心での反応を分析したり、生産ラインでストレスの大きい工程を洗い出してピンポイントで対策したりすることが可能になる。NECの生産拠点でも実際に取り入れた。また、オフィスのレイアウトやインテリアをリニューアルした効果の検証や、コールセンターの離職率低減に向けたストレス状態の把握にも活用されている。
同ソリューションの提案強化に向けて、従業員の疲労やストレスをどのように低減するかという点も含めてNECからフィードバックできるようにしていく考えだ。解決策もほしいという声が実際に上がっており、「そこまで提示できないと導入につながらない。さまざまな業種に提案しているが、『うちはお客さんと業種が違う』というのではなく、AI(人工知能)を使って答えを出していきたい」(NECの説明員)。
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