慶應義塾大学は、オゾンを安定的に貯蔵し、連続的かつ高速でオゾンハイドレードを大量生成する技術を開発した。実用可能な水準の濃度のオゾンを含む、オゾンハイドレート連続生成実証設備を開発した。
慶應義塾大学は2020年10月7日、オゾンを安定的に貯蔵し、連続的かつ高速でオゾンハイドレードを大量生成する技術を開発したと発表した。同大学理工学部 教授の大村亮氏と、IHI、オタワ大学との共同研究による成果だ。
オゾンハイドレートは、水分子が水素結合により形成する籠の内部に、オゾン分子が入ってできる個体結晶。分解すると結晶が壊れて、内包していたオゾンガスを放出する。オゾンをオゾンハイドレードの形にすることで、オゾンの自己分解を抑え、長期間の貯蔵が可能になる。
今回の研究では、オゾンハイドレードを連続生成できる実証設備を開発。生成したオゾンハイドレードには、実用可能な水準の濃度のオゾンが含まれる。また、オゾンハイドレードの結晶成長プロセスを観察し、プラントの性能向上に役立つオゾンハイドレードの結晶学的特性も明らかした。
新型コロナウイルスの不活性化にも効果があるとされるオゾンガスは、環境に優しい殺菌剤のため、さまざまな産業での利用が期待されている。しかし、オゾンは自己分解能を有するために利用範囲が限られ、安定的に貯蔵する方法が求められていた。
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