マグナ・インターナショナルがオゾンを使用した除菌装置「PURO」の開発を進めている。大きめのクーラーボックスのようなサイズと形状で、洗えない服や靴、カバン、子どものおもちゃなどを中に入れて除菌、消臭する製品だ。
マグナ・インターナショナルがオゾンを使用した除菌装置「PURO」の開発を進めている。大きめのクーラーボックスのようなサイズと形状で、洗えない服や靴、カバン、子どものおもちゃなどを中に入れて除菌、消臭する製品だ。
既にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の除菌効果が確認済みで、現在は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の除菌に対する有効性を立証してくれる協力企業を探している。効果が立証されれば、家庭向けに販売するだけでなく、医療用マスクや安全保護具などの除菌用に医療機関でも使ってもらいたい考えだ。
PUROの生産にはカナダ オンタリオ州ニューマーケット市にあるマグナの既存拠点を活用する。量産、販売の準備が既に整っており、効果が確認できれば数週間で医療関係者に装置を届けられるという。量産後は、医療機器や資材の不足を鑑み、PUROを医療従事者に優先的に供給するため、各国政府を通しての提供を検討している。
除菌装置に使用するオゾンの技術は、マグナのメカトロニクス部門がエレクトロニクスやラッチ技術を応用して開発したものだ。液体洗剤などは使用しないため、水を使えないものも除菌することができる。
高レベルのオゾンは有害な場合なため、安全面にも配慮して開発した。オゾン分子にさらされる危険性のあるサイクルの途中でPUROを開けられないようにするロック機構を備え、オゾンが装置外に放出されないよう設計されている。通電したオゾンを安全に酸素分子に分解するプロセスも設けている。自動車部品の設計と同様に安全性を念頭においた。また、開発チームは2012年に、マグナのオゾン技術がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の除菌に効果があることを確かめた。
PUROは、もともと自動車や医療向けの製品開発ではなく、複数の自動車メーカーが経営危機に陥っていた2008年ごろに異業種向けに技術の応用に取り組み始めた中で生まれた。オゾン技術以外にも、スケート靴の刃を研ぐシャープナーや太陽光発電関連などさまざまな新規分野の製品開発を進めていたという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.