現在、日本では人口や生産年齢人口の減少による人手不足が深刻化しているが、中小企業においても例外ではない。中小企業の人手不足感について業種別に確認すると、2013年第4四半期に全ての業種で従業員過不足DIがマイナスになり、その後も人手不足感は強まり続けている(図9)。足元では改善が見られるものの、人手不足感は依然として強いことが分かる。
企業の人材確保について従業者規模別に大卒予定者の求人数および就職希望者数の推移を見てみると、従業者数299人以下の企業については、求人数の減少と就職希望者数の増加により、足元の求人倍率は2019年卒の9.9倍から2020年卒の8.6倍と低下したものの、依然として高水準となっている(図10、図11)。一方で、従業者数300人以上の企業については、足元の求人倍率は横ばいだが求人倍率が1倍を下回っており、求人数より就職希望者の多い状況が続いている。
転職者数の推移についても、中小企業から大企業への転職者数は増加傾向にある一方で、大企業から中小企業への転職者数は横ばいで推移している(図12)。これらを考えると、中小企業・小規模事業は新卒や転職市場で大企業と比べて人材を獲得できていないことが分かる。
人員不足による影響を業種別に見てみると、サービス業やその他の業種において、「売上機会の逸失」と回答した企業の割合が最も高い。一方で、製造業においては「残業時間の増大」と回答する企業の割合が最も高くなっており、「納期遅れなどのトラブル」と回答した企業も34%存在している。
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