富士キメラ総研は、「AR/VR関連市場の将来展望 2020」を発表した。2030年のAR、VR表示機器の世界市場は、2019年比で44.8倍の16兆1711億円に拡大すると予測している。
富士キメラ総研は2020年8月21日、「AR/VR関連市場の将来展望 2020」を発表した。2030年のAR(拡張現実)、VR(仮想現実)表示機器の世界市場は、2019年の44.8倍に拡大すると予測。労働力不足に対応するための作業効率化を目的とし、AR、VRなどによる研修やトレーニングが一般的になるとみている。
調査では、AR、VRの表示機器9品目、対応機器5品目、関連デバイス13品目、コンテンツ2品目、ソリューション10品目を対象とした。2030年のAR、VR表示機器の世界市場は、スマートグラスがけん引して16兆1711億円に成長すると予測。スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイの普及および性能向上により、コンテンツやソリューション市場も拡大すると予測する。
ARとMR(複合現実)のスマートグラスの世界市場は、2030年には13兆9500億円になると予測。ARスマートグラスは、建設現場や製造現場での作業支援などB2B向けが中心で、作業従事者数の多さから潜在需要は大きいとみられる。しかし一方で、長期的にはMRスマートグラスへの移行が想定される。
MRスマートグラス市場もB2B向けが中心だが、本格的な普及はAppleなどの大手メーカーの参入が進む2022年以降とみられる。スタンドアロン型は、2025年以降にCPU処理とバッテリー性能のバランスが良い製品が登場し、普及が進むと予測する。
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、2020年末に発売予定の「PlayStation 5」に対応する接続型HMDの投入、2021年以降は複数メーカーによるモバイル端末接続型HMDの投入が期待され、2024年頃まで市場は大きく拡大していくとみている。現状では、スタンドアロン型はゲーム機、PC接続型に比べると処理能力が低いが、性能向上が進むことで市場は拡大すると予測する。
また、2030年のB2C向けコンテンツの国内市場は、5G通信で双方向通信が容易になり、VRで臨場感を味わえるライブ配信が拡大をけん引するとみられ、2019年比で6.7倍の5165億円になると予測。B2B/B2B2C向けソリューションの国内市場は、遠隔作業支援や集団研修、トレーニングなどで採用が進み、46.6倍の8380億円になると予測している。
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