自動車における車載情報機器以外のBluetoothの用途として注目を集めているのがキーレスエントリーである。Bluetooth SIGは、2024年にはキーレスエントリーの開錠/施錠デバイスであるキーフォブのうち1300万台がBluetoothを搭載するようになるとみている。この他、Bluetooth搭載デバイスとして日常的に利用されているスマートフォンをキーフォブ代わりに使用するトレンドも広がっている。
キーレスエントリーへの採用が拡大している背景には、これまでの自動車市場における採用実績に加え、Bluetooth SIGがそのための技術を発表していることも大きな要因になっている。現在のBluetoothを用いたキーレスエントリーに採用されている、RSSI(受信信号強度)を基に車両とキーフォブの距離を検知して開錠/施錠を行うシステムは、2017年に技術を発表している。
さらにBluetooth SIGは、RSSIベースの技術にとどまらず、Bluetoothアンテナへの信号の到達角度や発信角度を基にした方向検出(Direction Finding)により、高い精度でキーフォブの位置情報を検出できる技術を2019年10月に発表している。方向検出はRSSIベースの技術に追加的に組み込み可能であり、位置検出の精度をm単位からcm単位に向上できるという。
今後の展開として、さらに高精度な位置検出を可能にする安全高精度測長(Secure Ranging)を2021年に発表する予定である。会見では、ベルギーの研究開発機関imecやアルプスアルパインが、同技術を活用したシステムの開発に取り組んでいることを明らかにした。
このように、自動車に搭載されるBluetoothデバイスは、車載情報機器で用いられる1個より多く搭載されていくことになりそうだ。セイビン氏は「車載情報機器で1個、キーレスエントリーで4~6個、これらの他にタイヤ圧モニタリングでもBluetoothの採用が広がっており、車両1台につき10個以上のBluetoothデバイスを搭載するケースも考えられる」と述べている。
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