デジタルデータを最大限に活用する、企業のDX推進を支えるPTCの取り組みPTC Virtual DX Forum Japan 2020(1/3 ページ)

PTCジャパンは、オンラインイベント「PTC Virtual DX Forum Japan 2020」(会期:2020年8月20日〜9月25日)を開催。オープニングエグゼクティブ基調講演では、同社 代表取締役/PTC アジア太平洋地域 統括責任者の桑原宏昭氏が登壇し、「PTCが提供するデジタル変革 危機を乗り越え、新たなステージへ」をテーマに講演を行った。

» 2020年08月24日 13時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

 PTCジャパンは、オンラインイベント「PTC Virtual DX Forum Japan 2020」(会期:2020年8月20日〜9月25日)を開催し、初日(同年8月20日)のオープニングエグゼクティブ基調講演において、同社 代表取締役/PTC アジア太平洋地域 統括責任者の桑原宏昭氏が登壇。「PTCが提供するデジタル変革 危機を乗り越え、新たなステージへ」をテーマに講演を行った。

フィジカルとデジタルをつなぐIoTとARの役割

PTCジャパン 代表取締役/PTC アジア太平洋地域 統括責任者の桑原宏昭氏 PTCジャパン 代表取締役/PTC アジア太平洋地域 統括責任者の桑原宏昭氏

 ここ数年、同社はデジタル領域とフィジカル領域の融合によるイノベーションの創出をミッションに掲げ、事業を展開してきた。本来、現実世界にある実製品などと、デジタルの世界は“近いようで遠い存在”であったが、同社は「2つのテクノロジー」を軸にこれらの融合を図り、顧客企業の支援、すなわちデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しようとしている。そのキーとなるテクノロジーとは、IoT(モノのインターネット)とAR(拡張現実)だ。

 「フィジカル領域の状態を、センシング/IoTによってデジタル領域に取り込み、それらをAI(人工知能)で分析して、設計のデジタル情報と結合することでデジタルツインを作り出し、今度はARを通じてフィジカル領域の製品や装置などにフィードバックする。こうした世界を実現する上で、IoTとARは非常に重要な役割を果たす」と桑原氏は述べる。

PTCのミッションについて 図1 PTCのミッションについて ※出典:PTCジャパン [クリックで拡大]

デジタルデータを最大限活用する、DXに取り組むべき理由

 現在、多くの企業がDXによりビジネス機会の最大化を図ろうとしている。これまでのIT投資といえば、製造業の場合、研究開発・エンジニアリング部門であればCADやPDM、生産・サプライチェーン部門であればERPといったように、業務領域ごとに個別で行われてきた。しかし、近年「モノ売りからコト売りへ」といったキーワードが示す通り、単に良い製品を開発、販売するだけでは企業価値の向上は図れず、顧客と企業の双方の価値を高められるような新たな仕組みが求められ始めている。

 この大きな転換期において重要な役割を果たすのがDXだとし、桑原氏は「業務などで発生する情報が、他業務領域でもスムーズに利用でき、かつ利用状況が各所にフィードバックされるような企業全体におけるバリューチェーン活動が不可欠であり、それを支えていくのがDXだ」と説明する。

 DXといってもその定義や成熟度、取り組み状況などは業界によって異なってくるが、“デジタルデータを最大限活用する”という意味では、企業にとって古くて新しいテーマと捉えることもできる。例えば、設計、生産、マーケティング、さらには経営などの各領域において、デジタルデータを最大限活用した業務改善/改革の筋道が考えられるが、これまで個別に投資してきたITシステムを結び付け、業務領域を超えたライフサイクル全体を通じてデジタルデータを活用し、企業全体でビジネス機会を最大化することこそがDXの神髄であり、最大のチャレンジといえる。

DX戦略:企業全体でビジネス機会を最大化 図2 DX戦略:企業全体でビジネス機会を最大化 ※出典:PTCジャパン [クリックで拡大]

 そして、PTCでは、デジタル領域とフィジカル領域の融合よる新たなビジネス機会の創出のために、製品や設備の差別化と遠隔での最適化をもたらす「PRODUCTS」、オペレーションの効率化と柔軟性のブレークスルーをもたらす「PROCESSES」、労働力の俊敏性と柔軟性の向上をもたらす「PEOPLE」、空間や場所の作業効率と現場の最適化をもたらす「PLACES」の“4つのP”を支援する仕組みを提供しているという。

労働人口の変化とスキルギャップ

 続いて、桑原氏は現実世界が直面する課題として、労働人口の変化とスキルギャップについて触れた。ある調査によると、米国では今後10年で労働人口は確実に増加するといわれているが、その一方で、25〜34歳の若手人材の比率が年々減少傾向にあるという。さらに米国における雇用機会の調査では、2018〜2028年の間でスキル不足が理由で就業できない求人数が240万人に達するとの予測が示されている。

 これらを踏まえ、桑原氏は「日本でも同様のことがいえる。日本の場合、労働人口が増えていくということは考えづらいが、若手人材が減少し、かつスキル不足が理由で採用に至らない(求人数だけ増える)……という事態が起こり得る。またこれらに加え、今、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により労働環境そのものも大きく変動している。その中で問題なのは、全ての労働者がリモートワークできるわけではないということだ」と指摘する。

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