ベースとなる規格の上に構成される機械種別ごとの規格についても、内容を具体的に見てみよう。工作機械向け規格「OPC 40501-1: Companion Specification for machine tool(以下、CS for machine tools)」について紹介していきたい。この規格は2020年5月にドラフト版の準備が整い、OPC Foundation内でのレビューが開始されたところだ(図9)。
内容としてはCNCモード、生産タスク、工具情報など工作機械に必要な情報に特化してデータ定義がされており、EMO2019の企画展示用に準備された以前のドラフト版を踏襲した形となっている(※)。
(※)関連記事:「工作機械の共通インタフェース「umati」とは何か?」のumatiデータフォーマット
その一方で新しく追加されている内容もある。例えばDeviceClassesという項目には機械がどんな種類の工作機械に該当するのかを定義できるようになっており、近年注目されてきているAdditive manufacturing machine(積層造形装置など)が含まれているのも興味深い(図10)。
このDeviceClassesの追加に伴い、特定の種類の工作機械だけに必要なデータ項目も活用できるようになったのも新しい内容だ。例えば、レーザー加工機向けにはレーザー出力装置のステータスを管理したり、放電加工機向けにはパルス発生器のステータスを管理したりといったことが可能となっている(図11)。
また、機械のメンテナンス・工具交換・部品の加工終了といった予測時間通知を設定できるようになったのも新しい内容である。これらはPrognosisTypeにて予測時間通知のタイプと時間を設定し、OPC UAの通知(Notification)の仕組みを利用して発信する形となっている(図12)。
その他、以前のドラフトでも定義されていた生産タスクや工具情報などは、EMO2019での企画展示後のフィードバックなどでデータ項目や設定方法が改善されており、より実用化を見据えたものになったと感じられる。ただ一方、生産タスクや機械ステータス情報は先に紹介したベースの規格であるCS for machineryでも今後拡張が見込まれており、その際には整合が必要となる見込みだ。その点を考慮すると、規格全体が固まるまではまだ時間がかかるといえるだろう。ひとまず今回の規格内容は2020年秋にレビューが終了しその後に公開されることとなっているが、このあたりの整合に向けた修正は今後も続くものと予想されている。
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