ここまではumatiによる接続方式がどのように定められているかを紹介してきたが、もう1つの重要な要素であるデータフォーマットについても紹介したい。先述したように、umatiが連携するOPC UAでは、データを構造化して定義がすることが可能だ。
この特徴を生かして規格化したデータ型や構造体はCompanion Specification(コンパニオン仕様)と呼ばれているもので、umatiの規格策定活動は、まさにこのCompanion Specificationを各社で整合しながら取りまとめていく作業となっている(図7)。
具体的なデータでその一部を紹介しよう。最近の全ての工作機械は基本的にCNCを搭載しているが、そのCNCの系統情報を定義したのが図8である。ここでは図中の「Control Mode」に注目してもらいたい。どの制御装置メーカーのCNCも「自動運転(Automatic)」「マニュアル(Manual)」「編集(Edit)」などのCNCモードを持っているが、制御装置メーカーによりCNCモードを示す変数が異なっている。例えば「自動運転」を示す値が「2」であったり「5」であったりと基本的には変数はバラバラであることがほとんどだ。一方でumatiでは、工作機械のメーカーが異なっていたとしても「CNCモードはControl Modeという名称の変数に格納し『自動運転』は『1』と定義しよう」というデータフォーマットの共通化を行っている。
機械自体の制御設計に関する部分でも同様のことがいえる。図9は工作機械の表示灯、すなわちランプの定義を記載した箇所である。これにより機械制御の中で表示灯に割り当てている実際の制御アドレスに関係なく、何色の表示灯がどのように点灯しているのかをumatiのデータから読み取ることが可能となるのである。
また、機械に複数の軸や系統が存在する場合には、データを構造化できるOPC UAの特徴により、簡単に表現することが可能だ。例えば、対象の機械にCNCの系統が2つ存在する場合には、CNC系統タイプ(CncChannelType)をあらかじめ2つ設定しておけば、それぞれの系統に対して情報を格納するデータの箱が用意される(図10)。先述したControl ModeもそれぞれのCNC系統ごとに現在のステータスを格納しておくことができるというわけだ。機械が5つの軸を持っていたり、2つのスピンドルを持っていたりという場合も、それぞれ軸タイプ(CncAxisType)やスピンドルタイプ(CncSpindleType)をその数に応じて設定しておけば、それに応じてデータの箱が用意されるのである。
その他にもumatiのデータフォーマットは、機械がどの部品を何個加工したかというような加工履歴や、工具種類とその使用時間などの情報も対象にして準備が行われている(図11)。これまでデータ形式の統一が困難であった加工履歴や工具情報についても、これを機に規格化が進んでいくことだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.