議論の結果として、umatiの規格策定について合意されたポイントとしては大きく分けて2点ある。1つ目は「規格策定すなわち標準化はOPC Foundationの中に場を設けて実施する」ということだ。これまでumatiはOPC UAをベースとしたその派生規格として検討が進められてきた。しかし、OPC UAでは足りないものをさまざまな活動団体が派生規格として無秩序に付け加え始めると、収拾がつかなくなってしまう。規格策定は1カ所で行うのが合理的という判断で、これはOPC Foundationの中に全ておさめるという考え方だ。
2つ目は「工作機械を含めた工場内にある全ての機械装置に対して共通のベースとなる規格を策定し、その上に工作機械や産業用ロボットなどに特化した規格を取りまとめていく」という方針だ(図4)。そして、これらの規格は先に述べたように全てOPC Foundationの中に場を設けて策定が進められる。
具体的には、VDMAの主導でまずは全ての機械装置のベースとなる規格、すなわちどんな機械装置に対しても必要となる管理データ項目を取りまとめる。これまで既にVDMAは数多くの機械種別の規格策定を担ってきており、その数は増え続けている。2020年6月の時点で23種類にも及んでいるという(図5)。工作機械も含めたこれら全ての機械種別に向けた規格の横串をきれいに通していくというのがねらいだ。このベースとなる規格の上に例えば工作機械に特化した規格を乗せていくのだが、ここはこれまで規格策定の中心となってきたVDWに加えて、VDMAも共同で策定を進めていくこととなっている。
それではOPC FoundationとVDMAが進める規格策定の内容を具体的に見てみよう。まずは、全ての機械装置のベースとなる規格「OPC 40001-1: Companion Specification for machinery(以下、CS for machinery)」について紹介していきたい。この規格は2020年4月にドラフト版の準備が整い、OPC Foundation内でのレビューが開始されたところだ(図6)。レビューの期間は2020年9月までで、その後は公開される予定となっている。
ドラフト版の中身を見てみると、今回の初版で定義されているのはMachineIdentificationという機械装置の基本情報にあたる内容だ。具体的には、機械メーカー名、機械モデル名、ハードウェアやソフトウェアのバージョン、シリアル番号、製造年月、機械の設置場所といったデータ項目が設定されている(図7)。
これを見てみると、まだまだ基本的なデータ項目しか定義がなされていないことに気が付くことだろう。もちろんCS for machineryはこれだけで終わりということはなく、今後の拡張が予定されている(図8)。次のステップとして付帯装置や周辺装置の基本情報(Component Identification)、機械装置のステータス情報(Machine States)についての検討が始められている。さらにその先には生産タスクとそのためのデータ管理(Job & Dataset Management)や設備管理(Equipment Management)などを計画しているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.