具体的に、どんなエンジニアが求められているのか。
モデルベース開発のツールと言えば「MATLAB/Simulink」がよく知られている。自動車業界で最も重宝されるのは、ずばり「MATLAB/Simulinkでモデルベース開発を経験している人」だろう。しかし開発手法そのものが新しいこともあり、経験者だけを採用するのは非常に難しい。
そこで多くの企業は、30歳代半ばぐらいまでのポテンシャル枠として、ソフトウェア開発経験者を採用する傾向がある。製造業に限らず、IT業界でJava、C++、C#などを経験してきた人にもチャンスがある。
もう一つ重要なのは、マネジメントや取りまとめのスキルだ。例えば、シミュレーションができるからと言って、ずっとシミュレーションし続けていては、製品開発は進まない。納期やスケジュールなどを俯瞰し、勘所を捉えて、バランス良く仕事をしなければならない。
ツールや言語は勉強すれば覚えられるが、経験や志向性、素養といった部分は、勉強だけで身に付けるのは難しい。大熊氏は「採用にあたって、前職での仕事の進め方や職務内容との親和性を重要視する傾向もあり、モデルベース開発の経験はなくても、ソフトウェア開発経験+管理能力を持った方が求められる可能性は高い」という。
モデルベース開発に携わると、エンジニアにとってどんなメリットがあるのか。
モデルベース開発を通じて、自動運転車、電気自動車など、革新的な技術に携わることができるのが最大のメリットだろう。さらにモデルベース開発は、医療機器、ロボットなどで幅広く活用され始めているので、自動車業界以外でも先進的な分野で活躍できる可能性がある。そもそもソフトウェアエンジニアのニーズは高いので、加えてモデルベース開発に携わった経験があれば、引く手あまた……となるのはまず間違いないだろう。
コロナ禍で転職市場が落ち込むなかでも、モデルベース開発人材は求められており、この傾向はこれからも続くと考えられる。テレワークでの就業が可能な職種でもあり、withコロナ、ニューノーマルでも、変わらずパフォーマンスを発揮できるはずだ。
バランス良く仕事ができる、管理能力がある方、ソフトウェア開発の経験がある方は、自分に磨きをかけてチャレンジしてみてはいかがだろうか。
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