慶應義塾大学とCureAppは、ニコチン依存症に対する治療用アプリの大規模多施設ランダム化比較対照試験を実施し、長期的な禁煙継続効果があることを明らかにした。
慶應義塾大学は2020年5月21日、ニコチン依存症に対する治療用アプリの大規模多施設ランダム化比較対照試験を実施し、長期的な禁煙継続効果があることを発表した。病気治療を目的としたアプリの治験として、国内で初めて実施された。
研究に用いた「ニコチン依存症治療用アプリ」は、慶應義塾大学とCureAppが共同で開発したもの。日本の禁煙外来治療ガイドラインに相当する「禁煙治療のための標準手順書」の治療内容に準拠している。喫煙欲求や禁煙治療薬の副作用が出た場合に個別化した内容で助言する自動応答チャット、教育動画コンテンツ、自宅で測定する呼気一酸化炭素濃度と連動したデジタル禁煙日記などの機能を備える。
今回の治験は、全国31カ所の禁煙外来を受診した喫煙者584人を対象に実施。標準的な治療とアプリを併用した介入群と、治療用プログラムが入っていない対照アプリを使用した対照群とに患者をランダムに割り付け、有効性を検証した。
その結果、半年後の禁煙継続率は、介入群で63.9%、対照群で50.5%と統計学的に有意な差が認められた。また、1年後の禁煙継続率は介入群52.3%、対照群41.5%と、1年後まで禁煙継続率が高まることが示された。
同アプリが保険承認されれば、保険診療での処方が可能になる。今後の禁煙治療において、禁煙継続の助けとなることが期待される。
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