固定費は、前回発表した中計と同様に2018年度から3000億円削減することを目指す。内田氏は「リストラを主とした固定費削減ではない」と強調した。
まず、2021年度に営業利益率2.0%以上を確保することを目標に、事業のコアとなる部分以外を対象に、生産能力を20%削減、車種数の20%削減、一般管理費の15%削減に取り組む。同時に、フルモデルチェンジまでの期間(車齢)の若返りや販売の質の改善による台当たり収益の向上にも取り組む。2021年度以降は、コアとなるマーケットや商品、技術に集中し、コア以外の領域ではアライアンスを活用して収益性を高める。将来に向けた投資はよりタイトに管理しながら継続する。
商品のラインアップ数は、地域限定モデルの最小化などにより、現状の69車種から55車種以下に減らす。車両セグメントごとにリーダーを分担するアライアンスの戦略の下で、日産はCセグメントとDセグメント、電気自動車(EV)、スポーツモデルに集中する。車齢は4年以下とし、商品ライフサイクルを短縮していく。
内田氏は今後18カ月で新型車12モデルを投入することも宣言した。日本向けには2020年6月に小型SUV「キックス」を全車e-POWERで投入するほか、東京モーターショーなどで披露したEV「アリア」も7月に正式発表する。アリアは日米欧中で展開する。12モデルの新型車にはインフィニティ「QX55」や「ローグ」が含まれる。2023年度に向けては、EVやシリーズハイブリッドシステム「e-POWER」搭載車、先進運転支援システム「プロパイロット」の搭載モデルを増やす。電動化技術搭載車は年間100万台以上、プロパイロット搭載車は150万台以上に拡大する。プロパイロットは20の市場で20車種以上に採用する計画だ。
電動車比率は、2023年度までに日本で60%、中国で23%、欧州で50%に高める。e-POWERはグローバルで展開するB、Cセグメントのモデルで搭載し、欧州でも本格展開する。EVはグローバルで5車種を展開中だ。日本向けにはアリアや軽自動車タイプのEVを投入する予定だ。
地域別では、日本と中国、北米を主要市場と位置付け、台数よりも持続可能な成長を目指す戦略をとる。欧州や中南米、ASEANはアライアンスを活用しながら事業を持続させる地域とする。日本は新型車を毎年導入することで、ホームマーケットの再強化に取り組む。市場から評価の高いe-POWERやプロパイロットを生かし、シェアを高める。
中国はこれまでの健全な事業運営を継続し、ブランド強化を図る。EV5車種を追加するほか、e-POWERを展開して電動化を進める。また、中国市場でニーズの高いコネクティビティも強化し、2023年度までにコネクテッドカーを600万台に増やす。日産はアライアンスの戦略の中でも中国市場向けのコネクテッドカー開発を主導する。
米国は、フリート販売ではなく小売りに重点を置きながら、SUVやピックアップトラックの商品力を高める。今後18カ月で新型車8モデルを投入し車齢を若返らせる。販売奨励金の削減など販売面の改善については、セダン「セントラ」の2020年モデルで成果が見られているという。小売りの比率を高める計画も、予定通りに進んでいるとしている。
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