ジェイテクトの新規事業の中でも「コト」の提供に力点を置いているファクトリーエージェントだが、特徴とする受付対応のプロセスを見ると、かなりアナログなサービスという印象を受ける。競合とみられる製造業向け受発注プラットフォームは、3Dデータや解析などデジタル技術の活用に積極的ということもある。
上出氏は「そういった“ITドリブン”のサービスは素晴らしいものであり今後も市場はどんどん拡大するだろう。ただし、現時点で金属加工部品の図面は圧倒的に2次元図面が多い。ファクトリーエージェントは、この2次元図面を使って調達を行いたい顧客の要望に応えることを重視しているサービスだ。そこで重要なのが、発注側と受注側、そしてファクトリーエージェントの3者間でのコミュニケーションである。コミュニケーションを重視するとITの前に人が入る。だからこそファクトリーエージェントは“ヒューマンドリブン”のサービスと位置付けている」と訴える。
“ヒューマンドリブン”といってもITを活用しないわけではない。コミュニケーションを円滑に進められるITツールは積極的に採用するし、蓄積されたデータを基にしたIT活用を積極的に検討していく。「人が100やっているところをITで20やれるようにしていく感じだ。ITが主役ではなく、名わき役として活躍している」(上出氏)。
2019年4月からサービスを開始したファクトリーエージェントだが、この1年間は加工対象を板金とプレスに絞るなどテストフェーズにあった。上出氏は「パートナー企業にしっかりと仕事をしていただける流れができており、テストフェーズとしては十分な実績を積み重ねることができた。ジェイテクトの歴史の中で、新規事業として最速で売り上げが立ったという評価を得られたこともうれしい限りだ」と述べている。
これらの実績を重ねた結果が、2020年4月1日からのジェイテクトFAとして独立運営につながっている。今後は、ファクトリーエージェントの本格的なサービス展開に入るが、独立企業となることで、より素早い事業判断によってサービスの拡充なども期待できそうだ。
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