ジェイテクトは2019年11月19日、東京都内で会見を開き、2019年度上期業績や通期の見込み、自動車業界で注目を集めるCASEへの対応、新規事業の進捗状況について説明した。
ジェイテクトは2019年11月19日、東京都内で会見を開き、2019年度上期(4〜9月累計)業績や通期の見込み、自動車業界で注目を集めるCASE(コネクテッド、自動運転、シェアード、電動化)への対応、新規事業の進捗状況について説明した。
同社の2019年度上期業績は、売上高が前年度比2.8%減の7219億円、営業利益が同35%減の211億円、経常利益が同35.4%減の224億円、純利益が同75.2%減の47億円だった。同社 社長の安形哲夫氏は2019年度上期の業績について「売価水準ダウンを原価改善でカバーしきれず、さらに売上減も重なった。その一方でCASE対応に向けた研究開発は増加しており、ここ数年でもかなり厳しい結果になった」と説明する。
通期業績予想も見直し、売上高は期初予想比5.3%減の1兆4400億円、営業利益は同32.4%減の450億円、経常利益は同32.5%減の470億円、純利益は同27.0%減の180億円となっている。「下期は何とか持ちこたえられそうだ」(安形氏)という。
CASE対応では、A(自動運転)とE(電動化)に注力している。自動運転システムにおける「認知」「判断」「操作」から成るプロセスにおいて、ジェイテクトの主力商品である電動パワーステアリングはアクチュエータであり、操作を担う。「人で言えば筋肉や反射神経に当たる」(安形氏)。
2019年4月には、デンソー、アイシン精機、アドヴィックスと共同で、自動運転の統合制御ソフトウェアを開発する新会社J-QuAD DYNAMICS(ジェイクワッド ダイナミクス)を立ち上げた。独自に、人とクルマの意志が調和する自動運転対応技術なども開発しており「ジェイクワッドの活動などと併せて、欧米のメガサプライヤーにも十分対抗できる体制が整った」(同氏)とする。
また、自動運転システムが早期に実用化する市場として、トラックやバスなどの商用車を挙げた。安形氏は「これらの大型車両は重いので、油圧パワーステアリングが必要になる一方で、人による運転操作を円滑に行えるようアシストするコラム同軸アクチュエータも組み合わせて提供する。東京オリンピック・パラリンピックで採用される次世代交通システム向けに適用する」と述べる。
電動化については、電動オイルポンプや電動四輪駆動システムといった自動車部品事業だけでなく、電動ユニットの小型化に貢献する高速、薄肉の軸受や電動アクチュエータ用ボールねじ、より軽量のモーターシャフトの加工に用いる研削盤などの需要にも対応していく考え。「当社はリチウムイオン電池の生産ラインも提供しており、この引き合いもとても強い」(同氏)という。
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