新規事業としては、2019年10月に新工場(花園工場、愛知県岡崎市)を建設し量産を始めた高耐熱リチウムイオンキャパシターに加えて、介護用歩行器「J-Walker テクテック」、製造業マッチングサービス「ファクトリーエージェント」、水管理ソリューション「J-WeLL」を紹介した。
2017年11月に発表した高耐熱リチウムイオンキャパシターは、−40〜85℃以上という高耐熱性が最大の特徴だ。安形氏は「この2年間で500件以上の引き合いをいただいており、事業化に問題ないと判断し工場も作った」と強調する。花園工場の生産ラインは、年間48万セルまで拡張可能だ。2022〜2023年に単独黒字化し、2025〜2026年には売上高50億円の規模まで引き上げたい考え。
J-Walker テクテックは、既に発表しているパワーアシストスーツ「J-PAS」と同様に人と機械の調和をコンセプトに開発された。高齢者向けの歩行器に、スキーのノルディック競技のようなポールウオーキングの要素を取り入れるとともに、専用スマートフォンアプリを使った見える化とゲーミフィケーションを組み合わせた製品になっている。2020年度内の発売を予定している。「J-PASやJ-Walker テクテック、開発中のもう1製品についてはヒューマンライフサポート事業として立ち上げたいと考えている。将来的には50億〜100億円の売上高を目指せるのではないか」(安形氏)。
2019年3月に発表したファクトリーエージェントは、国内製造業を支えてきた中小企業とスタートアップや大学のマッチングを行うサービスだ。安形氏は「現在はテスト的に一部ユーザーで運用中だが反響は大きい。今後の対応としては、インターネットに慣れていない町工場の社長にどのように使ってもらえるかという仕掛けが必要かもしれない」と述べる。
J-WeLLは、「あまり知られていないが当社は投げ込み式水位計の大手」(安形氏)という背景から生まれたソリューションだ。地下水をくみ上げる井戸を枯らさないように一定以上の水位を確保して、長寿命化させることができる。現行の水位計と、工場向けに展開しているIoE(Internet of Everything)技術などを組み合わせて実現した。2019年7月から、同社のインド工場内で実験中であり、今後インドの政府や自治体と協力しながら事業化を進める方針だ。
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