東京大学は第一三共と共同で、固形剤製造を対象とした経済性評価ツール「SoliDecision」のプロトタイプを公開した。臨床開発から商用生産までの不確実性も、計算に取り込むことができる。
東京大学は2020年2月12日、第一三共と共同で、固形剤製造を対象とした経済性評価ツール「SoliDecision」のプロトタイプを公開したと発表した。臨床開発から商用生産までの不確実性も、計算に取り込むことが可能だ。同大学大学院工学系研究科 准教授の杉山弘和氏らの研究成果だ。
研究グループはこれまで、固形剤製造のプロセス選択肢を網羅的に生成し、経済性評価を実施するためのツールを開発してきた。SoliDecisionは、構築したアルゴリズムをPC上で簡単に実行できるように実装したものとなる。
需要量や原料価格、開発の成功確率など、変動要因となる入力パラメータ―に確率分布を設定できるため、臨床開発から商用生産までの不確実性も計算に取り込める。研究では、原薬価格や需要によって、選択する技術が変わることも分かった。また、出力結果は、開発中の新薬をどのようなプロセスで製造するかなどの技術的選択、連続生産装置を新規導入すべきかといった投資判断も支援する。
錠剤やカプセル剤などの固形剤は、同じ製品でもさまざまな方法で製造が可能だ。近年は、原料から生産まで一貫で製造する連続生産の技術が開発され、選択肢がさらに増えた。その結果、プロセス設計はより複雑になり、俯瞰的なツールが求められてきた。研究グループは、今回のプロトタイプ版を起点に、ライセンス版としてのSoliDecisionの実用化を目指している。
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