スマート工場EXPO 特集
連載
» 2020年02月19日 11時00分 公開

「ランニング指導」をサービス化、カシオとアシックスの「コト」づくりウェアラブルEXPO(2/2 ページ)

[三島一孝,MONOist]
前のページへ 1|2       

なぜカシオ計算機とアシックスがランナー向けサービスを開発したのか

 そもそもカシオ計算機とアシックスではなぜランナー向けのサービスを共同で開発することになったのだろうか。

 カシオ計算機では、2012年頃から、センシング技術やセンサー情報を組み合わせるセンサーフュージョン技術などを生かし、何らかのの新規ビジネスが立ち上げられないかという検討を推進。その中でランニングデータを取得し改善などにつなげる現在のサービスの原型となる仕組みを考えたという。

 独自でセンシングデバイスを開発し実業団や大学などでの実証を推進。これらの過程の中で「センシング技術で有用なデータが取得できることは分かったが、これをどう見せるのかという部分で、その先の難しさを感じていた。単純にデータとして見せてもそれを活用しようというランナーは一部に限られる。データを走りの中で重要な要素に変換し、今後の改善につなげられるように表現することが必要だと考えた」とカシオ計算機 事業開発センター 事業企画部 グループマネジャーの山本太氏は語る。そこで、ランニング関連のノウハウを持つ企業へのさまざまなアプローチを重ねたという。

 一方のアシックスにとっても「コト化」ビジネスの構築を目指し、ランニングに関する知見をベースとし新たなサービスを展開できないかを模索していたところだった。アシックス スポーツ工学研究所 スポーツコンテンツ研究部 機能サービス開発チーム 主任研究員の平川奈央氏「アシックス自体がセンシングデバイスなどを開発することは難しく、組むパートナーを模索していた。実際に多くのメーカーが提案に来ていたが、実際にデバイスそのものが動きそれぞれの知見をどういう形に発揮するのかという協業の枠組みまで提案してくれたのはカシオ計算機だけだった。やりたいビジョンが明確だったので、すぐに協業する方向性でまとまった」と語っている。

photo モバイルトラッカーの外観。赤丸部がクリップのロック。二重ロック構造になっていて、間違えて落とすことなく使える設計となっている(クリックで拡大)

 協業では、データの取得やデバイスの開発などはカシオ計算機が行い、データを「走り」の要素に分析する領域をアシックスが担った。またモバイルトラッカーの形状設計などについて、ランナーに求められる要素などをアシックスがフィードバックしそれを取り入れた形で現在の形に仕上げたという。

 平川氏は「アシックスではシューズの開発の過程でさまざまな試験や試走を行い、走りに関係する指標や知見が蓄積されている。これらを活用することで、ランナーへの評価や指導などを行うことが可能だ。またランニング関連製品を展開してきた知見からランナーが好むポイントなども把握している。モバイルトラッカーでもクリップ部の二重ロック構造などはそうした知見をフィードバックし取り入れてもらった」とそれぞれの役割について述べる。

 山本氏は「カシオ計算機ではデータは取得できても『良い走りとは何か』や『ランナーにどう伝えるのが良いのか』は判断できない。アシックスと組むことでこれらを実現できる」と協業の価値について述べている。

photo センシングデバイスを腰に付けた様子。腰の中央に付けるだけでランニング全体の情報を取得できる(クリックで拡大)

2020年内にサービス化へ

 カシオ計算機では2019年5月に中期経営計画を策定し「創造・貢献」の原点に立ち、独創性のある技術で新規市場創造への取り組みを強化している。ランナー向けサービスもこれらの取り組みの1つだ。

 山本氏は「技術的な大枠はほぼ完成している。今後は『継続的に利用してもらうためにどうするか』という切り口でブラッシュアップする。そのためには長期のモニターなどを募集し、表現の工夫や指標の出し方など、利用するモチベーションを持続させる手法を高めていきたい」と語り、2020年内のサービス開始を目指している。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.