ケーヒンは、「オートモーティブワールド2020」において、リチウムイオン電池モジュールの各電池セルの状態を無線通信で管理できる「ワイヤレス式バッテリーマネジメントシステム」を展示した。
ケーヒンは、「オートモーティブワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)において、リチウムイオン電池モジュールの各電池セルの状態を無線通信で管理できる「ワイヤレス式バッテリーマネジメントシステム」のコンセプト展示を行った。
同社はホンダ車の電動車両を中心にバッテリーマネジメントシステムを供給している。※)。セル電圧や電池特性曲線を正確に検出して電池容量を推定する技術により、電池の使用可能な容量を従来比で2%拡大し、走行距離を伸ばすことに貢献しているという。
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ただし、バッテリーマネジメントシステムに関連する情報をやりとりする通信はCANなどの有線ケーブルで行っている。これを無線通信に置き換えるのがワイヤレス式バッテリーマネジメントシステムだ。無線通信には、最大32個のリチウムイオン電池モジュールとつなげられる独自の2.4GHz帯メッシュネットワークを用いている。独自変調方式による高速通信、最適なアンテナ設計による高い感度の他、AES-128による暗号化と独自変調方式でセキュリティの向上も図っている。
バッテリーマネジメントシステムの無線通信化の最大のメリットは、リユースやリサイクルへの対応だ。EVをはじめとする電動車の市場が拡大すれば、車載リチウムイオン電池のリユースやリサイクルがより強く求められるようになる。現在の車載リチウムイオン電池は、車両に搭載して利用することを前提にしたシステム構成になっており、リユースやリサイクルのために車両から取り外す際にはバッテリーマネジメントシステムから切り離される。「車両から切り離した車載リチウムイオン電池はリユースやリサイクルの事業者に渡されるが、その事業者はあらためて車載リチウムイオン電池がどれくらい劣化しているかなどを自前で測定しなければならない」(ケーヒンの説明員)という。
ワイヤレス式バッテリーマネジメントシステムでは、リチウムイオン電池モジュールそれぞれにバッテリーマネジメントが可能な無線通信ユニットを組み込む構成になっている。このため、車両から車載リチウムイオン電池を切り離しても、専用のメッシュネットワークに接続可能な通信システムを使えば、リチウムイオン電池モジュールの状態を簡単に確認できるというわけだ。
また直近の需要としては、電動バイクで用いられている交換式のリチウムイオン電池ユニットへの適用が考えられるとしている。
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