日立製作所は、カーナビゲーションシステム用の地図を自動運転システムなどに使用する高精度地図(HDマップ)に変換する技術を開発する。専用の測量車両を使った高精度地図と比べて精度は劣るが、運転支援機能の内容によっては十分に活用できる精度を確保できるという。
日立製作所は、カーナビゲーションシステム用の地図を自動運転システムなどに使用する高精度地図(HDマップ)に変換する技術を開発する。
専用の測量車両を使った高精度地図と比べて精度は劣るが、運転支援機能の内容によっては十分に活用できる精度を確保できるという。また、カーナビ用地図を基にすることで、一般道向けにも車両制御用の地図を提供できる点が特徴だとしている。2021年度には、「何らかの形で商用に近いものを提供したい」(日立製作所の担当者)という計画だ。
高精度地図は、専用の測量車両を使用し、実際に道路を走行してデータを収集して製作する。一度完成した高精度地図の更新方法についてはさまざまな方法が検討されており、運転支援システム用のカメラやミリ波レーダーといったセンサーのデータから道路の変化を把握する提案や、測量車両の装備を簡易化したシステムをバスやトラックなどに搭載するというアイデアもある。
日立製作所は、頻繁に更新されるカーナビ用地図を活用することで、低コストに高頻度で高精度地図を更新できるようにする。日本ではゼンリン、海外ではHEREなどの地図データ会社と協力し、国内外のカーナビ用地図を高精度地図に変換する。また、更新した高精度地図をコネクテッドカー向けに配信する仕組みは、マイクロソフトの「Microsoft Connected Vehicle Platform(MCVP、マイクロソフトコネクテッドビークルプラットフォーム)」を活用して整備する。
日立製作所が開発する変換技術によって生成する高精度地図は、従来の測量方法による高精度地図と比べてレーンの中心線、車線の幅などの寸法に数m単位の誤差がある。しかし、「必ずしも高い精度でなくても運転支援システムに使えるという声がある」(日立製作所の担当者)とし、開発を進めている。
カーナビ用地図を高精度地図に変換するときにカギになるのは、地図データには含まれているが、カーナビユーザーには見せていない属性情報だという。道路の幅や車線数、車線の種類、一時停止線といった属性情報を組み合わせて高精度地図を自動生成する。将来的には、車両に搭載したカメラなどのセンサーのデータで補正し、高精度地図としての精度や鮮度を向上させることも視野に入れている。このコンセプトは「オートモーティブワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)において披露した。
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