4位以下の記事で、触れておきたいのは「ローカル5G」についての記事です。「工場への5G導入でファナックと日立が組む理由、完全無線通信化も視野に」などの他、15位にも「工場5Gは本当に使える? DMG森精機が伊賀事業所で今秋から実証開始」などがランクインしています。
5Gは、最大10Gbpsの高速通信、1ms以下の低遅延、1km2当たり100万台の多数同時接続などの特徴を持つとされ、2020年から商用サービスが開始されます。通信キャリアが提供する「公衆5G」の一方で、通信キャリア以外の事業者が、独自の基地局を設置して5Gを活用する「ローカル5G」が新たに認められているために、これを工場内通信に活用するための検討が進んでいます。
工場内の通信で5Gのこれらの性能や機能を活用できるようになると、工場内のさまざまな配線が不要になる可能性があります。また、スマート工場化の流れの中で、現場のデータ取得のためにさまざまなセンサーを付けるのではなく、リアルタイムで高精細画像を撮影し、その画像分析でさまざまな認識を行うようなことも可能になるのではないかと考えられています。ただ、現実的にはそう簡単ではありません。5Gの電波は直進性が強いために安定性が課題だとされており、産業レベルで活用するためには新たな関連技術の開発が必要となります。現在は世界的に見ても「どういう領域なら使用できるか」「難しい場合はどういう技術開発が必要か」などの観点で実証が進められている状況で、2020年もさまざまな動きが出てくると見ています。
さて、ここまで2019年公開記事に限定してランキングを見てきましたが、MONOist FAフォーラムの過去の記事も含めた全ての記事の中で2019年に最も読まれた記事は何だったのでしょうか。
答えは「半導体露光機で日系メーカーはなぜASMLに敗れたのか」となります。この記事は2018年公開記事の中で年間1位となった記事なのですが、半導体業界の再編などが進む中で、2019年も読まれ続けました。
ちなみに2位には「いまさら聞けない EtherCAT入門」」が入りました。こちらは2016年、2017年、2018年と3年連続で年間トップとなった記事ですが、2016年のトヨタ自動車の採用発表(※)以降、継続的に高い関心が続いているといえます。
(※)関連記事:トヨタが工場内ネットワークでEtherCATを全面採用、サプライヤーにも対応要請
2019年総合でのランキングは以下のようになります。
さて、2019年は従来語られてきたスマート工場化などの価値が実際に手の届くところに来た1年であったように感じています。一方で5Gなど新たな技術への検討が始まったといえるでしょう。2020年はどのような1年になるでしょうか。MONOistでは2020年も引き続き、スマート工場を含む製造現場の将来像についてさまざまな角度で情報発信を続けていきます。引き続きよろしくお願いいたします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.