第2位には「工場自動化のホワイトスペースを狙え、主戦場は『搬送』と『検査』か」がランクインしました。
こちらはMONOist編集部で毎年年始に掲載している「新年展望記事」の1つの記事となります。あらためて2019年の1年を振り返ってみると特に「搬送」についての動きは一気に活発化したと感じています。特に無人搬送車(AGV)や自律型モバイルロボット(AMR)導入への意欲や動きは、今まさに大きく広がっているように感じています。
インダストリー4.0などで理想とされる「マスカスタマイゼーション」を実現するためには、自律的に柔軟に変化する生産ラインが必要になります。しかし工程における作業精度を考えれば、製造装置などを動かすことは難しい状況があります。そこでこれらの間を搬送するAGVやAMRが柔軟に工程間を移動することで、「可変する生産ライン」を実現することが現実的だと見られ、実際にこうした生産ライン構築を進める動きも増えています。
一方で「検査」については試行錯誤が続いている状況だといえます。画像検査の自動化については、AIとの相性が良いことから、大幅に自動化が進むと期待されましたが、実際に製造現場で導入を検討した場合、膨大な画像などを集める学習の負荷が非常に高いこと、これらを生かすAI対応コントローラーの性能の問題、通信スピードなどの問題、などさまざまな問題が山積しています。これらに対して確固とした正解例が見つけ出せていない状況が続いているように感じています。徐々に成功事例なども出始めつつありますが、まずは「正解の形」を見つけ出すことが今後の課題だといえるでしょう。
第3位には「工作機械の共通インタフェース『umati』とは何か?」がランクインしました。工作機械業界においてネットワーク接続とデータ活用を可能とする新たなインタフェース規格として関心が高まっている「umati(ユマーティ)」ですが、ちょうど2019年9月にドイツのハノーバーで開催された国際金属加工見本市「EMO Hannover 2019(以下、EMO2019)」で、対応製品が実際の接続デモを披露したことで大きな注目を集め、記事としては数多くの人に読まれました。
実は「umati」は、4位にランクインしている「OPC UA」を前提とした規格となっており、こうした業界や業種、工程など意味のある単位でネットワークインタフェースをまとめ、さらにそれをつないでいくような動きが顕在化したのが2019年の特徴だったと感じています。インダストリー4.0やデジタル変革はとにかくまず「つながる世界」を作ることが大前提となりますので、つながる環境をさらに広げていく取り組みは今後も加速すると考えています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.