2019年版ものづくり白書では、日本を取り巻くビジネス環境の変化に対応していくためには、人材の獲得や育成に加えて組織の在り方も変革する必要があると指摘する。
これを踏まえて過去3年以内の組織改革や人事改革への取り組み状況を見ると、企業規模が大きくなるほど、部門や部署横断的な組織作りや評価システムや人事考課の見直しを行った企業の割合が高かった。具体的には、企業内にデジタル専門部隊を組織し、予兆検知モデルの作成や技能継承のデジタル化などの取り組みを加速させている企業も存在している。また、企業規模にかかわらず、若手を登用した企業も一定割合(23〜35%程度)見られる(図6)。
国内工場の生産プロセスについて収集したデータの利活用の状況と組織変革の取り組み状況の関係を見ると、収集したデータを実際に活用しようとしている、あるいは活用している企業ほど、組織改革や人事改革に積極的に取り組む傾向が見られる(図7)。
さらに、ITリテラシーの必要性を感じている企業の方が、組織改革に積極的に取り組んでいる(図8)。
このようにデジタル化への対応に向けて積極的に取り組んでいる、あるいは取り組もうとしている企業ほど、組織改革にも積極的に取り組んでいる傾向が見られる。デジタルデータの利活用を推進していくには、従業員のITリテラシーを高めることはもちろん、業務の進め方や組織・人事の在り方を見直すことも必要となる。2019年版ものづくり白書では、このように、製造×AI・IoTのスキル人材を育てることだけでなく、彼らが活躍できる場や組織づくりを実現できるかどうかが、製造現場におけるAI・IoT活用の成否を分ける鍵だとしている。
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