ノウハウの「暗黙知」化と関連するのが技能継承だが、これについてはかつて「2007年問題」で大きく注目された。「2007年問題」とは、2007年から団塊の世代が60歳の定年を迎え、これまで養ってきた技能や技術が失われるという問題だ。ただ、高齢者雇用安定法の改正により、団塊の世代の多くが雇用延長したことから、高齢者が一時期に大きく減少することはなく、問題は回避されたかに思われた。しかし最近になって「技能継承に問題がある」と感じている企業は2007年当時を上回るようになってきており、あらためて問題が顕在化してきた状況だ(図12)。
技能継承を重要だと考える一方で、技能継承に不安を感じている企業も多い(図13)。実際に、技能継承の成果が上がっていると考えている企業(「技能継承がうまくいっている等企業」)よりも、技能継承の成果が上がっていないと考えている企業(「技能継承がうまくいっていない等企業」)の割合がやや上回っている(図14)。
労働生産性と技能継承の関係性をみると、技能継承が「うまくいっている企業」は労働生産性が高くなっており、新人が一通りの仕事をこなせる技能者になるまでにかかる時間が短くなっている(図15、図16)。
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