トラック、倉庫、1次産業で冷やす技術の需要拡大、パナソニックは中国で売上3倍に物流のスマート化(2/2 ページ)

» 2019年12月16日 10時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
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中国自動車メーカーと協力してトラックの冷蔵コンテナ開発

 こうした状況を受けて、現地資本の自動車メーカーと協力して、少ないエネルギーで効率的に冷やすコンテナの開発を進めている。「われわれは真空断熱材を中国の重慶で生産しており、社内の技術を組み合わせて役立てる」(横尾氏)と自信を見せる。

 ただ、中小企業が大多数ということは、経済的な理由で冷蔵車、冷凍車が導入されにくいという意味でもある。「そんな高いトラックは必要ないという会社が多い。ある物流事業者の冷凍車をモニタリングさせてもらうと、燃費が悪くなるからといって冷凍機のスイッチが途中で切られていることが分かった。燃料コストは物流事業者の負担になるからだ。車両の省エネ化に加えて、食品輸送の温度管理に対する規制や補助金など政策で環境が変わるだろう。リース販売が普及すれば、それも後押しになるのではないか」(横尾氏)。

冷蔵ロッカーのイメージ。インターネット通販で購入した生鮮食品の受け取りを便利にする。冷蔵だけでなく保温タイプも設置されているという(クリックして拡大)

 生鮮食品のサプライチェーンの起点である1次産業に向けては、「産地予冷」の移動式コンテナを展開中だ。農家が農産物を収穫して冷凍機付きのコンテナに入れ、冷やした状態でトラックに載せて物流拠点へ運ぶというものだ。

 生鮮食品が家庭に届くまでの変化にも対応する。インターネットから注文を受けて生鮮食品を販売する業態が拡大することで、都合のいい場所、タイミングで購入した生鮮食品を受け取りたいユーザーが増える。これに合わせて、冷蔵対応のスマートロッカーの設置が進むという。

現地での素早い意思決定が必要

 パナソニックは、コールドチェーン事業を中国だけでなく、日本やタイなどでも展開している。中国では、冷蔵ショーケースを手掛ける松下冷鏈(大連)と、冷凍機の松下冷機系統の2社がそれぞれ開発、生産、販売を行っている。

 従来は日本主導で中国を含む海外事業をマネジメントしていたが、中国には特有の課題や市場環境があり、小売りにIT大手が関与しており変化も速いため、今後の成長には現地での意思決定が必要だと判断。2019年4月から中国の地域カンパニーである中国・北東アジア社の下に移った。中国・北東アジア社では、コールドチェーンを家電や住空間に並ぶ重点事業と位置付けている。

コールドチェーン事業の位置付け(クリックして拡大) 出典:パナソニック
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