オーストリアのセンサーメーカーであるamsは2019年12月3日、東京都内で記者会見を開き、CMOSイメージセンサー事業の展開を紹介した。
オーストリアのセンサーメーカーであるamsは2019年12月3日、東京都内で記者会見を開き、CMOSイメージセンサー事業の展開を紹介した。同社はマシンビジョンを筆頭に、写真&ビデオ、マイクロカメラモジュール分野に注力する方針を打ち立てている。
amsは光学センサー、イメージセンサー、オーディオセンサーに強みを持ち、センサーICやインタフェース、ソフトウェアなどを提供するセンサーソリューションベンダー。世界各国に18の開発拠点を設け、グローバルで9000人の従業員を擁している。2018年のグローバル売上高は16億2700万米ドル。同社はCMOSイメージセンサー事業の設計拠点をベルギーのアントワープ、ポルトガルのマデイラ諸島、そして東京に開設し、イメージセンサーの製品ラインアップ強化を図ってきた。
amsのCMOSイメージセンサーポートフォリオは、エリアスキャンセンサー、ラインスキャンセンサー、マイクロカメラモジュールの3種に大別できる。エリアスキャンセンサーはマシンビジョンやセキュリティ、写真&ビデオなどの用途に向く。amsでCMOSイメージセンサー担当マーケティングディレクターを務めるトム・ウォルショップ氏は、同社エリアスキャンセンサーの強みがグローバルシャッターと高いフレームレートにあると説明する。
エリアスキャンセンサーの新製品として、1型グローバルシャッターイメージセンサー「CSG-14K」が紹介された。同センサーサイズの従来製品「CMV4000」から画素サイズを縮小させており、CMV4000の420万画素からCSG-14Kは1400万画素と高解像度化した。また、「画素サイズの縮小だけでなく、ダイナミックレンジ向上などさまざまな要素を改善した」(ウォルショップ氏)といい、ダイナミックレンジはCMV4000の60dbからCSG-14Kでは69dbとなっている。
その他、オプティカルブラックピクセルや複数のROI(Region of Interest:読み出す画像領域を制限する)設定、サブサンプリングなどの機能を備える。USB3 Vision対応の評価キットも用意され、フルスピードのSub-LVDSや4K出力のHDMIをサポートする。
ラインスキャンセンサーもマシンビジョンが主なアプリケーションとなる。新製品「4LS」シリーズの開発が進んでおり、2020年にリリースされる予定だ。4LSは4つの並列ピクセルラインを搭載しており、RGBにモノクロを加えた画像処理もしくは4:1のTDI(Time Delay and Integration)動作に対応する。4つのラインを同時に動作でき、全ての解像度で4ラインともに最大150kHzのラインレートを提供する。
マイクロカメラモジュール領域では、カメラシステムのサイズが1×1mm程度である「NanEye」シリーズを拡充する方針だ。同シリーズはセンサーダイとレンズ、ケーブルが組み立てられたカメラモジュールの状態で提供される。従来製品の「NanEye2D」に加え、2020年第1四半期には「NanEyeXS」「NanEyeM」が新たに医療向けに、「NanEyeC」が新たに民生機器向けに提供される。
NanEyeXSはNanEye2Dからさらなる小型化を図った製品となる。また、NanEyeMとNanEyeCはNanEye2Dとほぼ同じサイズを維持しつつも、高画素化を実現。レンズの光学性能も向上させるなど、イメージング性能に磨きを掛けたとする。
amsジャパンでカントリーマネージャーを務める岩本桂一氏は、日本における同社CMOSイメージセンサー事業について「日本市場においても非常に重要な製品で、売り上げの約4割を占める。2019年はわれわれも厳しいビジネス環境に置かれていたが、来年納期の注文が増えている。2020年は確実な成長を予測している」と述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.