「ET&IoT Technology 2019(ET2019)」のアドバンスド・データ・コントロールズおよびGreen Hills Softwareのブースでは、「自動運転ソフトウェア機能安全認証対応ツール with ANSYS」に関する展示デモを披露していた。
「ET&IoT Technology 2019(ET2019)」(2019年11月20〜22日、パシフィコ横浜)に出展したアドバンスド・データ・コントロールズ(以下、ADaC)およびGreen Hills Software(以下、GHS)のブースでは、「自動運転ソフトウェア機能安全認証対応ツール with ANSYS」に関する展示デモを披露していた。
同展示デモは、自動運転用アプリケーションを車両ECU上で開発することを目的に、高速モデルベースアプリケーション開発および自動車向け機能安全規格のISO 26262で最も高い安全要求レベルとなるASIL(Automotive Safety Integrity Level) Dを満足するコードの生成、PIL(Processor-in-the-Loop)シミュレーションを可能とするもの。GHSとANSYSがそれぞれ提供するISO 26262認証取得済みツール(制御&HMI開発環境など)によって実現する。
GHSの統合開発環境「MULTI」とANSYSの組み込みソフトウェア用モデルベース開発環境「SCADE」を用いてアプリケーションを開発し、モデルから自動生成されたASIL Dコードを用いて、車載用SoC上でPILシミュレーションを実行する。PILシミュレーション環境では、GHSのリアルタイムOS「INTEGRITY」や各種コンポーネントが車載用SoC上で動作し、ANSYSが提供するドライブシミュレーションプラットフォーム「VRXPERIENCE」と連携して自動運転用アプリケーションの効率化、品質の早期作り込みを支援する。
「次世代の自動車開発に不可欠なASIL C以上のレベルになると、検証にかかる工数が非常に多くなり、クリアしなければならないハードルがぐっと高くなるが、GHSとANSYSが提供するISO 26262認証取得済みツールを用いることで、ASILを意識することなく、次世代自動車向けのアプリケーション開発や検証に専念できるようになる」(ANSYSの説明員)
自動運転車の実現には、カメラやLiDAR(Light Detection and Ranging)などのセンサー類が重要な役割を担うため、いかなる環境でもこれらが確実に機能するかどうかを十分に検証しなければならない。通常、実世界の環境で試験車両を走行させて検証する必要があるが、そのためには膨大な距離を走行させなければならず、時間やコストもかかる。また、試験車両を走らせて初めて見つかる不具合なども多数存在するため、効率化が強く求められている。
そこで、ANSYSは光学技術をベースとする高精度なドライブシミュレーション環境を提供する。一般的なドライブシミュレーション環境とは異なり、光源の位置や光の反射までを加味したシミュレーション環境を実現(現実世界に近い環境をバーチャルで再現)できるため、カメラやLiDARのような光の影響を受けやすいセンサー類の検証に最適だとし、自動運転車の開発および検証にかかる時間を大幅に短縮でき、競争の厳しい次世代自動車開発の効率化に貢献できるとする。
「例えば、量産段階や出荷後にセンサー周りで不具合が発生してしまうとリカバーが大変だ。そうならないためにも、できるだけ早期に、シミュレーションレベルで不具合を見つけ、その対策をとって次につなげていくことが大切だ」とANSYSの説明員は語る。
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