デジタルツインを実現するCAEの真価

ANSYSが掲げる8つのテクノロジー戦略と次世代モビリティ実現へのアプローチCAEニュース(1/2 ページ)

年次イベント「ANSYS INNOVATION FORUM 2019」の基調講演では、ANSYS CTOのPrith Banerjee氏が登壇し、「Simulating the Future of Mobility(モビリティの未来をシミュレーション)」をテーマに講演を行った。

» 2019年10月09日 06時30分 公開
[八木沢篤MONOist]

 アンシス・ジャパンは2019年10月4日、年次イベント「ANSYS INNOVATION FORUM 2019 - Innovate everywhere, anytime」を東京都内で開催。基調講演では「Simulating the Future of Mobility(モビリティの未来をシミュレーション)」をテーマに、ANSYS CTOのPrith Banerjee(プリス・バナジー)氏が登壇し、「自動運転」「電動化」「5G」といった技術トレンドとともに進化する次世代モビリティの実現に欠かせないシミュレーションの重要性について、同社のビジョンおよびテクノロジー戦略を交えながら紹介した。

ANSYS CTOのPrith Banerjee(プリス・バナジー)氏 ANSYS CTOのPrith Banerjee(プリス・バナジー)氏

シミュレーションのリーダー企業の地位を確立するアンシス

 冒頭、バナジー氏は「アンシスは、シミュレーションの世界のリーダーとして、流体、構造、電磁界など、さまざまな物理領域をカバーするシミュレーション技術を保有している」とし、これまで戦略的買収によってその範囲を拡大してきた背景を説明する。近年では、自動運転に関連してOPTISを、5GではHelicを、そして材料分野に関してはGranta Designを買収(関連記事:シミュレーションには高品質な材料情報が不可欠、ANSYS+Grantaがもたらす効果)。また直近では、自動車の衝突シミュレーション技術を保有するLivermore Software Technology Corporation(LSTC)の買収も発表するなど、シミュレーション主導設計の実現に注力し、顧客企業の利益拡大や損益改善に貢献してきたと強調する。

幅広いシミュレーション技術シミュレーション活用のメリット (左)幅広いシミュレーション技術を提供するアンシス/(右)シミュレーション活用のメリット[クリックで拡大] 出典:アンシス・ジャパン

 アンシスのシミュレーション技術は、世界4万5000社に採用されており、その適用分野は多岐にわたる。そのうち特に強みを発揮し、年間契約総額(2018年度実績)で33%を占めるのが「ハイテク分野だ」(バナジー氏)とし、インテル、NVIDIA、ブロードコムといった世界有数のハイテク企業がアンシス製品のユーザーだという。そして、これに続くのが自動車産業である。バナジー氏は「BMWやフォード、フォルクスワーゲン、ホンダなど、世界トップ25社のうち22社がアンシス製品を利用している」と述べる。

さまざまな業界で採用されるアンシスのシミュレーション技術 さまざまな業界で採用されるアンシスのシミュレーション技術[クリックで拡大] 出典:アンシス・ジャパン

 続いてバナジー氏は、アンシスのテクノロジービジョンについて紹介。まず、「自動運転」「電動化」「コネクテッド化」そして「シェアリング」といった技術トレンドにより、変革期を迎えている自動車(モビリティ)業界を注目領域に掲げ、「アンシスはパートナー企業とともに、電動化、自律性(自動運転)、5G、IoT(モノのインターネット)の4つの分野において、ソリューションを提供していく考えだ」(バナジー氏)と説明。さらに、“Pervasive Simulation”の思想に基づき、製品ライフサイクルの全てを網羅する形で、シミュレーション活用を推進していくとし、付加製造、デジタルツイン、製品開発の初期段階でシミュレーション技術を活用して革新的な設計案を導出する「デジタル探索」などについても、さまざまなソリューションを提供する用意があるという。

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